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『ばけばけ』銀二郎は最終週「出てこない」と確定 トキは牡丹灯籠を聴きに行ったのか、史実を見てみると

『ばけばけ』銀二郎は最終週「出てこない」と確定 トキは牡丹灯籠を聴きに行ったのか、史実を見てみると


銀二郎役の寛一郎さん(時事通信フォト、2024年11月26日)

【画像】え、「どっちもかっこよすぎるだろ」「顔小さッ」 コチラが銀二郎こと寛一郎の「父親」との2ショットです

小泉八雲と牡丹灯籠の関係

 連続テレビ小説『ばけばけ』第24週からは、主人公「雨清水トキ(演:高石あかり)」と、夫「雨清水八雲(レフカダ・ヘブン/演:トミー・バストウ)」ら家族が東京で暮らしています。24週の最後ではすでに代表作『怪談』が誕生し、もうすぐ最終週が始まりますが、視聴者の間では、まだトキの元夫「銀二郎(寛一郎)」や、彼が話題に出していた怪談「牡丹灯籠(燈篭、燈籠とも書く)」について言及する意見が多く出ていました。

 銀二郎は1886年にトキと結婚して彼女の養家・松野家の養子になるも、東京に出奔してしまいます。彼はその後に会社を興して成功を収め、1891年にトキとよりを戻そうと松江に戻るも、最終的には身を引きました。それ以降も、東京で暮らしていると思われます。

 銀二郎は第4週でトキが自分を探しに東京へやってきた際、当時の流行りの怪談「牡丹灯籠」を一緒に聴きに行こうと話していました。第13週でトキのことを諦めた時も、ヘブンとでいいからいつか東京に「牡丹灯籠」を聴きに来てほしいと言っています。

 東京のエピソードが始まって以降、視聴者からは「おトキは『牡丹灯籠』聴きに行ったんだろうか? 銀二郎さんとニアミスなんてないんだろうか」「そういえば昔、銀二郎と牡丹灯籠の観劇に行こうという話をしてたから、銀二郎とセットでまた出てくるんかな」「最終週でヘブンさんと2人で聴きにいくシーンとか出たりせんかな」と、言った声が出ていました。

 SNSでは銀二郎の再登場を望む意見も多くありましたが、残念ながら3月16日に大阪で行われた『ばけばけ』スペシャルトークショーの最後では、寛一郎さんが「銀二郎はもう出てきません」と断言しています。おそらく「牡丹灯籠」の話題も登場しなさそうですが、トキはこの怪談を聴きに行けたのか、モデルの小泉セツの史実から見てみましょう。

「牡丹灯籠」は落語家の三遊亭圓朝によって、1864年頃に創作された怪談です。元ネタは、中国の明時代の怪奇小説集『剪灯新話』に収録された『牡丹燈記』だと言われています。ある男に恋焦がれた末に死んだ美しい女の幽霊が、カランコロンと下駄の音を響かせ、夜な夜な男の元へ現れる怪談で、いくつもの章に分かれている長編です。

 実はヘブンのモデルである小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)は、1899年9月に発表した著書『霊の日本』の「悪因縁」という章で、この「牡丹灯籠」について書いています。「悪因縁」を読むと、ハーンは友人からの勧めで5代目・尾上菊五郎主演で歌舞伎化された「牡丹灯籠」(1892年初演)を見に行ったと語り、その原作者として圓朝の名を挙げていました。

 しかし、ハーンの東京帝大の教え子である英文学者・田部隆次は、ハーンの死から10年後の1914年に発表した伝記『小泉八雲 ラフカディオ・ヘルン』のなかで、

「(ハーンは)菊五郎の芝居を見に行ったように書いてあるが、実際は東京では時間を惜しんで芝居見物をしたことはなかった」「『牡丹燈篭』の話を先生は『悪因縁』と題して書きかえられたが、話は夫人から聞かれたのであった」

 と語っています。断言口調で書いているので、田部は生前のハーン本人、もしくは妻のセツから直接裏話を聞いたのでしょう。

 また、ハーンたちの長男・小泉一雄は『父「八雲」を憶う』のなかで、

「父は劇と同じく講談落語の如きも名人の演ずる好い物なら一雄に聞かして置けというのです。円朝の牡丹燈籠なども聞きに行けと申しました。それ故私は寄席へも(母に)時々連れて行かれました」

 と書いていました。おそらく、セツが落語か歌舞伎かどちらかで「牡丹灯籠」の話を知り、著作のネタとしてハーンに語ったのち、ハーンが息子に落語を聴きに行かせるように言ったものと思われます。

 何にせよ、こういった史実があるからこそ、『ばけばけ』に「牡丹灯籠」の話題が出てきたのでしょう。省略された10年の間に、トキも「牡丹灯籠」を聴きに行ってヘブンに語り直した可能性があります。

 ちなみに、銀二郎のモデル・前田為二は実際は東京ではなく大阪に出奔しており、彼が圓朝の作った怪談をセツに紹介したというような記録はありません。

※高石あかりさんの「高」は「はしごだか」

参考書籍:『八雲の妻 小泉セツの生涯』(潮出版社)、『小泉八雲 ラフカディオ・ヘルン』(中央公論新社)、『父「八雲」を憶う』(千歳出版)、『霊の日本』(響林社)

配信元: マグミクス

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