
動き出したロボット兵。画像は『天空の城ラピュタ』静止画より (C)1986 Hayao Miyazaki/Studio Ghibli
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再登板の理由は?
『天空の城ラピュタ』(監督:宮崎駿)に登場する「ロボット兵」は、この作品を象徴するキャラクターです。時計をはめ込んだような小さな顔、不釣り合いなほど長い手足、そして、その手足でラピュタの城内を歩く姿は、未知の科学文明を感じさせてくれます。宮崎氏の真骨頂ともいえる、素晴らしいデザインです。
さて、これとほぼ同じデザインのロボット兵が、別の作品に登場したことをご存知でしょうか。その作品は『ルパン三世 (TV第2シリーズ)』の最終話「さらば愛しきルパンよ」です。こちらの脚本・演出は「照樹務」となっていますが、これは宮崎氏の別名義です。
恥ずかしながら筆者は『ラピュタ』も『ルパン』2期も、リアルタイムでは追えていません。ただし、この『ルパン』2期の最終話に『ラピュタ』のロボット兵(ラムダ)が登場することは、懐かしのアニメを特集するバラエティ番組で知っていました。
『ルパン』版のロボットは、最終話の冒頭から両手を広げて東京の街を滑空します。頭部にプロペラになっているなど、若干の差異はあるものの、それ以外は『ラピュタ』版とほとんど変わりません。
さて、ここまでの話を受けて、筆者と同じく「非リアルタイム世代」の方なら、『ラピュタ』のロボット兵を、宮崎氏が遊び心で『ルパン』2期にゲスト出演させた、と思うのではないでしょうか。少なくとも筆者は、その後に『ルパン』2期の最終話を後追いで観た後ですら、長らくそう思い込んでいました。
しかし、実際の順序は、逆でした。『ラピュタ』の公開は1986年、一方で『ルパン』2期の最終話が放送されたのは1980年と、完全に『ルパン』2期が先でした。作風から、つい逆だと思っていただけに、これは意外な事実でした。
では、なぜ宮崎氏はこのロボット兵を『ラピュタ』で再登板させたのでしょうか。理由は実にシンプルで「愛」です。宮崎氏は『ルパン』で登場させたロボットのデザインを大変気に入っていました。とはいえ、『ルパン』の劇中では納得のいく活躍の場を設けることができなかったことを後悔していたといいます。
そこで、満を持して『ラピュタ』に登場させた、というわけです。『ルパン』版ロボットも暴れ回りますが、キャラクターというよりもマシンという印象でした。その点において『ラピュタ』のロボット兵は、破壊兵器でもあり、守護兵でもある、そんな多様な面を見せてくれました。
さらにいえば、前作『風の谷のナウシカ』に登場した「キツネリス」も、ロボット兵のシーンで再登板しています。あの場面は、さりげなく宮崎氏がお気に入りのキャラが肩を寄せ合っていたのです。
『ルパン』で初登場を果たした「ロボット」は、ラピュタ城を経由して、いまでは「三鷹の森ジブリ美術館」の守り神として、佇んでいます。
参考書籍:『ジブリの教科書2 天空の城ラピュタ』
