
元「仮面ライダーアギト」の津上翔一も登場するが、今回の主役は氷川誠。映画『アギトー超能力戦争ー』場面カットより (C)2026「劇場版アギト」製作委員会 (C)石森プロ・東映
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「愛されキャラ」として存在感は抜群?
2026年4月29日(水)に公開予定の映画『アギトー超能力戦争ー』は、平成仮面ライダーシリーズ第2作『仮面ライダーアギト』の続編として、ファンから注目されている作品です。しかし今回の劇場版は、これまで制作されてきた「続編」とは一線を画す部分がありました。
それはキャスト発表の際にわかったことですが、主演がTV版『アギト』の賀集利樹さん(津上翔一役)から、要潤さん(氷川誠役)へと変わった点です。これは何を意味するのでしょうか。
TV版の「氷川誠」は、特殊強化装甲服である「仮面ライダーG3/G3-X」を装着し、未知の敵「アンノウン」と戦う警察官でした。「仮面ライダーアギト」と「仮面ライダーギルス」とともに戦う仮面ライダーのひとりです。
『アギト』は最初から複数のライダーが活躍する作品の先駆けでした。アギト、G3、ギルスはほぼ同格に扱われ、それぞれのドラマを深く描いています。この方式が後のシリーズに大きな影響を与え、本作の魅力のひとつとなっていました。
それぞれ個性豊かなキャラクターでしたが、特に氷川は「愛されキャラ」として放送中の人気も高かったと思います。愚直なまでに生真面目な性格で、正義感も強いキャラクターでした。劇中でも、その部分が他のふたりに比べて強調されています。
さらに「手先が不器用」という欠点がクローズアップされることがたびたびあり、ボケ属性ということもあってファンから愛されていました。飄々として浮世離れな「津上翔一」、不愛想だが芯は優しい心の持ち主である「葦原涼」と比べると、比較的スタンダードなヒーロー像に近いといえるかもしれません。
また、G3とG3-Xはシリーズ初の装着型仮面ライダーであり、この部分が魅力的に感じる人も多くいました。今では装着型仮面ライダーが主流ですが、その元祖がG3ということになります。
これらを考えると、今回の劇場版で主人公が氷川になったことに否定的な意見があまり出てこないのも、納得かもしれません。TV版で高い支持を集めた氷川というキャラクターが今作の主人公となるのは、それほど意外ではなかったということです。

「G3-X」を装着した氷川誠が終盤で大活躍した、『劇場版 仮面ライダーアギト PROJECT G4』Blu-ray(東映ビデオ)
主人公は「氷川」でないといけない理由が?
旧作での氷川の活躍で、筆者が印象的だったシーンがふたつありました。そのひとつが『劇場版 仮面ライダーアギト PROJECT G4』(2001年)での「G4」との戦いです。
このG4は、タイトルになるように同作のラスボスともいえる存在で、後に「ダークライダー」と呼ばれる悪の仮面ライダーの始祖ともいえました。この強敵をG3-Xの氷川は単独で倒すことに成功します。ここに注目すると、この劇場版の主役も氷川だったかもしれません。
もうひとつは、TV版最終回での活躍です。創造神である「闇の力」直属の「地のエル・強化体」と「風のエル」によってアギトへの変身を解除された津上の危機を救い、押されながらも戦い抜いたシーンです。
このG3-Xの奮闘に、地のエルは「何者なんだ、お前は!」と驚きの声を上げました。それに対してG3-Xは「ただの人間だ!」と返しています。このセリフは、映画『アギトー超能力戦争ー』でも重要な意味を持つかもしれません。
なぜなら、『超能力戦争』では、文字通り超能力を持った人間との戦いが予想されるからです。つまりアギトの力を持った津上や葦原ではなく、「ただの人間」である氷川こそが主役にふさわしいのでしょう。
思えば、TV版終盤でアギトの力を持つ者と、そうでない者との確執が示唆されていました。その流れを引き継いだ今回の劇場版は、まさに続編に相応しい展開かもしれません。そして、だからこそ主演は「アギトの力を持たない」氷川だというわけです。
