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山時聡真×菅野美穂インタビュー どうにもできない現実で出会った、悪人のいない優しい世界『90メートル』

山時聡真×菅野美穂インタビュー どうにもできない現実で出会った、悪人のいない優しい世界『90メートル』

人生の岐路に立つ高校生の息子と、難病を抱えながら我が子の希望ある未来を願うシングルマザーの揺るぎない愛を綴った感涙の物語『90メートル』が3月27日(金)に公開される。本作は新進気鋭の監督・中川駿が、母親を看病した経験を基に、自身と自身の母を重ね合わせた半自伝的なオリジナル企画を映画化したものだ。

高校3年生の藤村佑(たすく)を演じるのは、数々の話題作への出演で注目を集める山時聡真。母・美咲を演じるのは、自身も子育て中であり、近年、母親役が続く菅野美穂。その他、介護施設のケアマネジャー・下村⾹織を西野七瀬、佑の同級生でバスケ部のマネージャー・松田杏花を南琴奈が、バスケ部の元チームメイト・⼤平翔太を田中偉登が演じる。

愛するがゆえに生まれる、真逆で矛盾だらけの想い。それぞれの選択と願いが交わるとき、観る者の胸を静かに締め付ける親子の愛と絆の物語。主演のおふたりに、本作の魅力と母親の存在について伺った。

ひたむきな息子役、導く母親役

——脚本を読まれたときの印象と共演が決まったときの印象、それぞれ教えてください。

山時 演じた佑の年齢が近いこともあって、佑の置かれた環境を重く受け止めました。母親の息子に対する想いや、逆に佑が母親に言いたかったこともあったりして、それぞれが葛藤していることに、すごく胸がギュッと締め付けられました。でも「そんな状況でも、親子の愛や周りの人の優しさを感じることができる心が温かくなる作品だな」と思いました。今回、母親役を菅野さんが演じられると聞いて、すごく嬉しかったです。出演された作品をいくつも拝見していましたし、今回が初共演だったので「僕が本当に佑でいいのかな? 」と思うぐらい緊張していました。菅野さんの息子役を演じさせていただくことで、すごく不安でもありましたけど、とても心強かったです。

菅野 母親に対する気持ち、息子に対する気持ち、それぞれの気持ちがあるけれど、そこには、どうにもならない現実がある。そんな環境が、本当に息が詰まるようでした。そして本作で、中川監督が「どのように演出されるのかな? 」ということも楽しみに思いました。

監督が美咲さんを私にと思っていただいて、受けるかどうか迷いもあったんですけれど、誤解を恐れずにいうと、きちんと役に向き合えば「私も育児中だし、何かできるかもしれないな」と思ったんです。私、最近ドラマや映画をほとんど観ていないんですけど、山時さんの演技は拝見していて「目がすごく印象に残る俳優さんだな」と思っていたんです。今回、ご一緒できると伺ったときは、とても楽しみでした。拝見した作品が熱い男の役柄だったので「佑を演じると、どうなるのかな? 」と思っていたんですけれど、お会いしてみたら、むしろご本人は佑の柔らかい感じに近い方でしたね。

——実際に一緒にお芝居されて、どんなことをお互いに感じましたか?

菅野 山時さんの素直なところが佑にぴったりだと思いました。多感な時期で、学校にも通っているから周りの目もあるし、そんな中で演技に集中しなきゃいけない。いろいろと複雑なことが入り混じっている山時さん自身の状況が、佑の複雑な思いとか環境と重なっているようにも見て取れました。撮影期間中、「毎日ご自身の中で得るもの、掴むものがある時期なんじゃないかな」と思いながら見ていて、そのひたむきさに感心していました。

山時 一番近くで菅野さんのお芝居を見て、毎回鳥肌が立つ感覚がありました。菅野さんは、リハーサルやテストのときから、本気でお芝居をされるので、僕もテストのときから、感情が溢れ出そうになりました。プロフェッショナルすぎて、僕もずっと気を引き締めていました。

あと菅野さんが撮影中に「私の爪を切って」と言ってくださったんです。正直すごく怖くて(笑)。「間違って、手が滑ってしまったら‥‥」と気後れしていたんですが、菅野さんが「介護をする気持ちで」と言ってくださったことで、「作品で描かれてないところで、佑はこういうこともしてるんだな」という感覚を与えてくださいました。その後からは「いつも佑ってどんなことをしてるんだろう?」と想像するようになったので、すごく感謝しています。程よい距離感を保てていたのは、菅野さんの優しさのおかげだと思っています。

病気の母、介護する息子

——この親子の置かれた状況を理解することは、頭ではわかるけれど、心が追いつかない部分があったのではないかと思っています。どのように役を作り上げていったのか教えてください。

菅野 私の演じた美咲さんは、できることができなくなっていくことに向き合わなきゃいけない病気になります。本当に残酷な現実で「自分だったら‥‥」と考えれば考えるほど、わからなくなっていくんです。この間、ジムの先生に「今日が元気で過ごせるんだったら、それ以上は全部欲です」って言われたんです。そう考えると、映画の中の設定に比べたら「自分は、なんて欲だらけなんだ」と思うんですよね。美咲さんは息子の未来を考え、たくさんの時間を使って、たくさんの葛藤があったと思うんです。私も母として、自分がいざそうなったら、美咲さんみたいになれる自信が全くなくて。「こういう母になれない私だからこそ、素敵な女性を演じさせていただくんだ」と思いました。山時さん、ケアマネ役の西野さん、監督、撮影チーム皆さんと”想い”がそろっていたので、全体がうまくいったんだと思います。山時さんや監督をはじめ、現場で皆さんに助けてもらいました。今振り返ってみると、自分がやったことは、しっかり届くように、伝わるように演じようっていう気持ちしかなかったですね。

山時 介護の練習を始め、看護される側の気持ちも調べて学びはしたんですけれど、最終的に佑の気持ちとか、母親の気持ちをすべて理解できたわけではないです。正直、撮影中もよくわからないまま演じていた部分もありました。でも、今回ありがたいことに、ほとんど順撮りにしてくださっていたんです。撮影で、介添えや車椅子を動かすことを身をもって体験することで、どんどん体に染み付いてくるんです。最初より後に撮ったシーンの方が、明らかに役柄を理解できていると感じました。撮影しながら悩んで、理解していったことが、役作りに繋がったんじゃないかと思います。

配信元: otocoto

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