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山時聡真×菅野美穂インタビュー どうにもできない現実で出会った、悪人のいない優しい世界『90メートル』

山時聡真×菅野美穂インタビュー どうにもできない現実で出会った、悪人のいない優しい世界『90メートル』

母親の存在とその距離感

——おふたりにとって母親はどんな存在ですか?

山時 教師のような存在です。母を見て、母にいろんなことを教わって育ってきたので、母にすごく似ているんです。過保護なところもあって「言い過ぎでしょ」と思うところもあるんですが、そういうとこも含めて、いつも細かいところまで見られている感じがします。

菅野 私も遺伝子の強さをすごく感じています。なんか嫌だなと思うところが似てくるんですよね (笑)。いまだに教わり続けているところもありますけど、この年になってくると「昔はこうだったけど、今違うよ」とか私の方から母に伝えなきゃいけないことも出てきます。昔は与えてもらうばっかりだったけど、それが今、お互いやり取りする立場になったかなと思います。母が安いランチを食べて喜んでいるところを見ると、すごくいいなと思うんですよ (笑)。「もっとTVのランチ特集とかリサーチして教えなきゃ」って思っています(笑)。

——おふたりは母親と、今どんな距離感で接していますか?

菅野 私と母は映画のような優しく柔らかな距離感というより、仕事のときや困ったときに手伝ってもらう、現実的な関係です。「母が元気でなきゃ困る! 」みたいな感じですね (笑)。自分が子どもだったとき、当時の母の気持ちなんてわからなかったけど、今、子育てを通じて、「母はあのとき、こういう気持ちだったかな? 」とか、気持ちの共有ができているような気がします。距離感は近くなっていると思います。私は、子どもが2人いるんですけど、私自身は3人兄弟なんです。3人育てるのと2人育てるのは全然違うので、改めて「母親ってすごいな」と思うんです。でも、母は、どこか抜けているところもある。「私もこういう風になっていくのかな‥‥」と思うと、「いいなぁ」と思う反面、「気をつけなきゃ」とも感じています (笑)。でもやっぱり、私にとってかけがえのない大事な人ですね。

山時 母とは仲良しで、距離感もすごく近いんです。じつは、この作品のオーディションは”自分の母親と電話をする”というものでした。今までは、俳優としての自分を見られている感覚があったんですが、今回は実際に自分の母親と話すというものだったので、素の自分を見られていたという感覚です。僕が質問して、母が答えてくれるという形で会話をしていたんですけど、母の言葉を受けた自分の表情とか、そういうところも見られていたんじゃないかなと思います。その結果、この作品に参加できたということは、「自分と母の距離感が、佑と美咲さんに通ずる部分があったのかな」と、今振り返ると思います。

菅野 そうかも。美咲さんの方が佑にあれこれ言う感じだもんね。

山時 そうですね。「どれだけ愛情を受けて育ってきたか? 」みたいなところも見られていたのかなと思いました。

——素敵ですね。なかなか言えないですよ。

山時 好きなんです、家族が。

菅野 世代なのかな。すごいよ、素直にそう言えるのは。

親子役の2人が一番感涙する映画

——完成した本編をご覧になっていかがでしたか?

菅野 初号試写は、山時さんと一緒に観たんです。

山時 隣で並んで観ました。二人して、すごかったですよね (笑)。

菅野 めっちゃ泣きました。「自分が出ているのに、こんな泣く? 」って思いながら (笑)。

山時 後ろから見ても、前から見ても「あのあたりの人たちが異常に泣いてるぞ」ってわかるくらいだったと思います (笑)。母親のシーンを観ると、改めて実感が湧きますよね。「知らなかったところでこう思っていたんだ」とか、バスケ部の仲間が、佑がいないことを我慢していたことを言いあうシーンとか、観ているとすごく胸にグッとくる。台本は読んではいましたけど、映像で観たときに、愛情や友情がより心に響いて、涙が本当に止まらなくなったんです。

菅野 自分の気持ちを抱えながらも親子がお互いに相手のためを思うところや、佑とバスケ部のお友達とのやり取りや、ケアマネさんたち、みんなで親子を支えようとしてくださる姿も、みんなの優しさに涙が出ました。それを包んでいるのは監督の優しさで、監督の人柄が出ているんだと思います。それと、この作品には、山時さんの10代最後の時間、19歳の特別な輝きがあります。「作品としてすごくいい残し方だなぁ」と感じました。1月に撮影して、山時さんが6月に20歳になっていたので、初号を観たときには乾杯ができました。すごくいい思い出です。

山時 菅野さんが連れていってくださって、とても嬉しかったです。

菅野 本当に「俳優として大切な時期に共演させていただけたな」と思っています。

——これから本作を観る皆さんに向けてメッセージをいただけますか。

山時 高校生から取材される機会があったんですが、そのときに「この作品をどう思いましたか? 」って聞いたんです。そうしたら公開日が3月27日なので「卒業する前の高校生でいる間に観たいな」と。”人によって観るべきタイミングがあって、そのタイミングだからこそ受け取るものがあるんだな”と感じたんです。誰と観るかも重要だし、この先何回でも観返すことができる作品だと思います。

作中の親子と境遇は違うかもしれないですけど、みなさんが共感できる部分がたくさんあると思っています。撮影中もスタッフさんが、泣いていたこともありました。観ている人が、自分事のように落とし込める素敵な作品だと思うので、どの世代でも、記憶に残るような大切な作品になるんじゃないかなと思います。

菅野 中川監督が「僕は今まで過ごしてきた中で、”わかりやすい悪人”に会ったことがないんです」とおっしゃっていたんです。それは”中川監督がいい人だからですよ”と思ったんですけど、監督のおっしゃっていることもわかるんです。今、世の中に響く作品って一滴の毒があったりするじゃないですか。そういうのがないと世の中には受けられないって  (笑)。若い人たちの息が詰まるような世界観のなかで、どこか同じ境遇だと思えるような共感がある。そういう闇を抱えた作品の方が多いと思うんですけど、この作品は真逆なんです。透明で、とっても優しい作品です。

山時くんの透明さ、監督の優しさ、主題歌を務めた大森元貴さんの清らかさがそろったのはすごいなと思うんです。”人生は素晴らしい”ということを監督はじめ若い人たちがおっしゃっていること自体が、メッセージになっている。そこが、この映画の素敵なところだと思います。

取材・文 / 小倉靖史
撮影 / 立松尚積

山時聡真) ヘアメイク:速水昭仁 (CHUUNi)  / スタイリスト: 西村咲喜
菅野美穂) ヘアメイク:北一騎 (Permanent)  / スタイリスト:青木千加子 

配信元: otocoto

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