
【今さら聞けないサッカー用語:DOGSO(ドグソ)】「明白な得点機会の阻止」を意味。「ゴールの価値をどう守るか」サッカーの哲学が凝縮された独自ルール
聞いたことはある、何となく意味も分かる。でも、詳しくは知らない。そんなサッカー用語を解説。第18弾は「DOGSO(ドグソ)」だ。
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DOGSOとは“Denial of an Obvious Goal-Scoring Opportunity”の略称で「明白な得点機会の阻止」を意味する。サッカーの競技規則が定めるルールの中で、特に重い反則として扱われるペナルティだ。
「ほぼ確実に得点になり得た場面を、反則によって潰したかどうか」を審判が判断する基準であり、これが認定されると反則を犯した選手には、原則として退場(レッドカード)が科される。
なぜここまで重い処分になるのかといえば、単なるファウル以上に“ゴールという試合の本質的価値”を奪った行為と見なされるからだ。そこに悪質だったかどうかは介在せず、条件が満たされればファウル=DOGSOの判定となる。
では、何をもって「明白」と判断するのか。ここがこのルールの核心であり、完全な数式ではなく、いくつかの判断要素の組み合わせで決まる。
一般に重視されるのは、①ゴールとの距離、②ボールの保持またはコントロールの可能性、③守備者の位置と数、④プレーの方向(ゴールへ向かっているか)といった点だ。
たとえば、攻撃側の選手がゴール前で完全に抜け出し、キーパーと1対1になる状況で後ろから倒された場合、例外の余地なくDOGSOと判断されやすい。
ただし、このルールは機械的ではない。同じような状況でも、カバーに入れるディフェンスの選手がいたり、ボールがやや流れてコントロールが難しい場合は、「明白」とは言えないと判断されることもある。ここには審判の裁量が大きく関わる。
サッカーという連続的で流動的な競技において、「もし反則がなければ確実にゴールだったか」を評価することが、DOGSOの判断に直結するのだ。
さらに近年のルール改正も興味深い。ペナルティエリア内でのDOGSOは、守備者がボールにプレーしようとした正当な試みの中でのファウルであれば、従来の一発退場ではなく警告(イエローカード)に軽減されるケースがある。いわゆる「三重罰(PK+退場+出場停止)」の回避で、これらが同時に起きるのはゲームの観点でも過度に厳しいという議論を踏まえた調整だ。
DOGSOは「ゴールという価値をどう守るか」というサッカーの哲学が凝縮された、サッカー独自のルールだ。試合を観る際にこの視点を持つと、レッドカード一枚の裏にある判断の重みや、競技の設計思想まで見えてくる。
最終ラインの中央を守るセンターバックにとって厳しいルールだが、相手のカウンターなど難しい局面で、いかにDOGSOにならない対応で乗り切るかは守備の醍醐味とも言える。
文●河治良幸
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