名演揃いのインメイツ『ミート・ザ・ビートルズ』

この時期のビートルズ・シーンを語るうえでもうひとつ、触れておきたいバンドがインメイツである。いつものように西新宿のレコード屋街を徘徊していると、ウッドストックの店内から聞いたことのないビートルズ曲のカバーが聞こえてきた。曲は「リトル・チャイルド」。だが、馴染みのあるサウンドではなく、パンクというかガレージロックのようで、ボーカルも太い声でがなり立てるように歌っている。店に入り確認すると、インメイツというバンドの『ミート・ザ・ビートルズ』というレコードであることがわかった。そのまま聞き入っていると、「リトル・チャイルド」のほかにも「アイル・ゲット・ユー」「シーズ・ア・ウーマン」「ユー・キャント・ドゥ・ザット」など、比較的地味な曲のカバーが続く。ツボを得ているなと思い、レコードを購入。思いがけない出会いによるインメイツの『ミート・ザ・ビートルズ』はしばらく愛聴盤となった。その後も、西新宿に行くたびに、いくつかのレコード屋でこのレコードが流れていたので、聴いたことがあったり、レコードを買った人も多かったのではないだろうか。
ほかに、日本人アーティストによるビートルズのカバー集『抱きしめたい』なんてCDもあった。村上春樹の『ノルウェイの森』のヒットやビートルズのCD化に便乗した企画だったのかもしれないけど、ユーミンと高中正義(「ノルウェーの森」をカバー)、清志郎とチャボ(「ドント・レット・ミー・ダウン」をカバー)など、豪華アーティストが多く参加しており、そこそこ話題になったコンピ盤であった。聞きどころの多いなかで、個人的に注目したのは加藤和彦の「ハニー・パイ」。少し前から吉田拓郎に興味をもち、その流れで初期拓郎のキーマンとして加藤和彦の存在に気づき、彼の圧倒的なセンスに感服していたから、加藤和彦の歌う「ハニー・パイ」はどんな仕上がりなのか、どのような解釈とアレンジで歌っているのかに興味を惹かれた。買うまでには及ばず、レンタルで済ませたのだが、予想は的中し、ますます加藤和彦への興味が深まっていったのであった。