少し引っかかった誘い方
「奢ってやるよ」という言葉は、どこか耳に残るものでした。気さくな人なのかもしれない、そう自分に言い聞かせながらも、どこか上から目線でこちらを見下しているような物言いが気になっていました。レストランを予約してくれたこともあり、断るのは申し訳ないと思って待ち合わせ場所に向かいました。メニューをすすめられるまま。会話は弾んでいたし、料理もおいしかったです。その場では、最初の違和感を打ち消すように、楽しい時間を過ごしていました。
会計のとき、空気が変わった
食事が終わり、伝票が来たとき、相手の顔色がさっと変わりました。何かを探しているようです。「あ、やばい、財布忘れた」と、ばつが悪そうに笑いながら言ったのです。一瞬、冗談かと思いました。でも、相手は本当に困った様子で「今日だけ立て替えてもらえる?」と続けました。断ることもできず、わたしは全額を支払いました。帰り道、なんとも言えない気持ちを抱えながら、一人で夜道を歩きました。
