名古屋市の繁華街・栄で、飲食店利用客に高額な料金を請求する「ぼったくり被害」が相次いでいる。愛知県警によると、2025年は8月末時点で相談件数が180件に達し、すでに年間最多を更新。被害総額は1億2000万円を超え、来年秋のアジア競技大会・アジアパラ競技大会を控える中、県警はパトロールを強化している。
名古屋のみならず、東京・歌舞伎町では2015年頃から、キャバクラやガールズバーによる高額請求が社会問題化してきた。交番前で被害者と店員が言い争う光景は日常化している。典型的な手口としては、メニューの小さな文字に高額なサービス料を忍ばせたり、同席した女性に勝手に高額ドリンクを注文させたりするものだ。請求額が1人30万円から50万円に達する例もあり、その悪質さは際立っている。さらに一部店舗では、特殊詐欺グループの資金洗浄に使われていた実態も確認されている。
こうしたぼったくり店を見分けるための「ライフハック」がある。最もわかりやすいのが「店の看板」なのだとか。一体どういうことか。繁華街事情に詳しいルポライターが解説する。
「そもそも看板がなければ、店名がわかりません。あるいは、あっても英語の筆記体などで書かれていると、判読しにくいケースがあります。どちらも危険なサインです」
店名が読みにくいのはトラップであり、あとで思い出せないように仕組んであるのだ、と。とはいえ、多くの繁華街では客引き自体が条例で禁止されており、安易にキャッチについていかないことが最大の防衛策となる。
そもそも筆記体表記のぼったくり店があるのは偶然ではない。文部科学省は2002年告示の学習指導要領改定で、2003年度から筆記体を必修から外した。そのため、1990年4月から1991年3月生まれを境に、現在34歳から35歳以下の世代は、学校で筆記体を習わずに育ってきた。結果として筆記体の店名は若い世代には判読が難しく、あとから場所を特定しづらい。こうした「教育の空白」を、ぼったくり店が意図的に利用しているとしたら…。
不幸にして被害に遭った場合は看板やレシートを撮影し、場所や金額を特定できる証拠を残すことが重要となる。そして何よりも大切なのは、怪しげな客引きには決してついていかないこと。名古屋や歌舞伎町に限らず、全国の繁華街で同様の手口が横行しており、利用者ひとりひとりの警戒心こそが、被害防止の最も有効な手段となる。
(ケン高田)

