
三笘薫がシャドーなら、左WBで期待される前田大然。“地元”で奮起「もう失うものはないし、やるだけ」【現地発】
2026年北中米ワールドカップでの大躍進を目論む日本代表にとって、現地3月28日に対戦するスコットランドは、確実に勝っておきたい相手だ。
FIFAランキングは単なる指標に過ぎないが、現時点では日本の19位に対し、相手は38位。そういう相手に勝てないと、本大会に向けて不安が募らないとも限らない。ネガティブな要素はできるだけ排除しておきたいところだ。
今回の試合会場は、スコットランドの聖地ハムデン・パークで、完全アウェーの一戦になる。日本に怪我人が続出しているが、日本優位のゲーム展開に持ち込むことが肝要だ。
そのスコットランド戦で最も注目される日本人選手と言えば、やはり地元セルティックでプレーする前田大然ではないか。
「注目はされると思いますけど、あまりプレッシャーに感じずに入るというか。日本人のこっちに住んでる子どもや親御さんが来てくれるんで、普段お世話になっている人たちに頑張っている姿を見せられればいい」と、彼は平常心でハムデン・パークのピッチに立つ構えだ。
慣れ親しんだ土地での一戦は、前田にとって千載一遇のチャンス。というのも、南野拓実(モナコ)と久保建英(レアル・ソシエダ)というシャドーの主軸2枚が負傷離脱し、三笘薫(ブライトン)がシャドーにスライドする可能性が高まったからだ。
三笘がインサイドでどの程度、プレーするか分からないが、今シリーズの左ウイングバックのベースは前田と中村敬斗(S・ランス)ということになるだろう。ここまでは中村の方が重用されてきたが、前田の仕事ぶり次第では序列が変わることもあり得る。
実際、第二次森保ジャパンでの前田の立ち位置は、やや中途半端な印象が拭えない。主戦場は左ウイングバックだが、FWとしてもしばしば使われるケースがあり、本人もどっちつかずの難しさに直面していたはずだ。
「今はほとんど(代表の)フォワードをやっていないので、フォワードではないなというのは僕自身も感じている。左の方がやりやすい部分があるので、そこで勝負するのかなと感じています。
自分はもう失うものはないし、やるだけなので、あんまり先のことを考えずに、明日の試合だけに集中したいと思います」と、本人は過去の紆余曲折や戸惑いをいったん横に置いて、左ウイングバックで“違い”を強く押し出していくつもりだ。
同サイドで対峙することになりそうなのが、セルティックのチームメイトであるアンソニー・ラルストンというのも、前田にとって追い風になるか。お互いに特長を知り尽くしている分、若干のやりづらさはあるかもしれないが、自信を持ってスピードある突破を仕掛けられるのではないか。
「日頃の練習からマッチアップしているんで、お互いに意識する部分もありますけど、僕自身は楽しんでやれればいいかなと。相手の良さを消しながら、自分の特長を出せればいいと思います」と本人も前向きに言う。
このタイミングで一気に序列を引き上げられれば、2022年カタールW杯直前と同じ流れを現実にできる。3年半前も本番直前の9月のドイツ遠征で1トップに抜擢され、プレスのスイッチ役に任命された。その戦い方のメドが立つと、本大会ではドイツ、スペイン、クロアチア戦で先発。クロアチア戦ではゴールも奪っているのだ。
「前回は僕自身もあんまり覚えてなくて、それこそ最終予選とか全然出てないなかで、ああいうふうになったんで、自分としての手応えはあんまりなかった。でも今回はしっかりチームとしてずっと戦ってこれて、あと2試合と壮行試合をやってワールドカップという感じなんで、チームとしてしっかり戦えているなというのを実感できている。だからこそ、まずは明日の試合をしっかり戦いたいです」と、前田はこれまでの積み重ねを大事にしながら、2大会連続でキーマンの座を掴もうとしている。
今回、セルティックのレジェンド中村俊輔氏が解説者として現地を訪れていることも、1つの刺激になりそうだ。2020年代になってセルティックに日本人選手が大量移籍するようになったのは、もちろん横浜F・マリノスで一時代を築き、セルティックでも指揮を執ったアンジェ・ポステコグルー監督の存在が大きい。
ただ、その前段階として中村氏がセルティックで爪痕を残し、日本人選手の評価を上げたことも、大きな布石になっていると言っていい。
「間違いなく、僕たちがセルティックに馴染めたのは俊輔さんのおかげだと思う。今は逆に、僕がそういう存在になっていけていると思うし、もっともっとそうなるようにしたいです」と、前田は神妙な面持ちで話していた。
偉大な先人の前で、希代のスピードスターがどんな驚きを与えてくれるのか。彼を筆頭に代表でいわゆる“準主力”の人材が躍動することで、日本代表は確実に活性化するはず。そういうギラギラ感を楽しみに待ちたいものである。
取材・文●元川悦子(フリーライター)
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