最新エンタメ情報が満載! Merkystyle マーキースタイル
脳トレ四択クイズ | Merkystyle
【現地発コラム】イタリア代表が見せた戦術的修正「準備していたのとは違う形になって」ビルドアップは大筋でポジショナルプレーの原則に【W杯欧州予選PO準決勝】

【現地発コラム】イタリア代表が見せた戦術的修正「準備していたのとは違う形になって」ビルドアップは大筋でポジショナルプレーの原則に【W杯欧州予選PO準決勝】

56分に決まったサンドロ・トナーリの先制ゴールがすべてだった。

 前半45分を通して、北アイルランドの5-4-1ブロックの外側でボールを回すばかりで、質の高いクロスすら満足に供給することができなかったイタリアだったが、後半の立ち上がりにようやく、こぼれ球を拾っての速攻などから攻勢に立ち始める。

 そして56分、マッテオ・ポリターノが右サイドから入れたクロスを相手がクリアしたこぼれ球に詰めたトナーリが、ペナルティアーク付近で右足を一閃。地を這う強烈なシュートをゴール右隅に叩き込んだ。

 それまでの流れはむしろ、北アイルランドの狙い通りだった。マイケル・オニール監督は、前日会見でこう語っていた。

「我々にプレッシャーはない。プレッシャーはすべてイタリアにのしかかっている。イタリアは強いチームだが、我々を怖れさせるようなプレーヤーは持っていない。このチームにフランチェスコ・トッティやアレッサンドロ・デル・ピエロはいない。我々にとって重要なのは試合に留まり続けること。0-0のまま時計が進めば進むほど、イタリアの困難は大きくなっていくだろう」

 北アイルランドは、イタリアのビルドアップに対しては5-2-3のミドルブロック、押し込まれた後は5-4-1のローブロックを敷き、中央のゾーンを徹底的にプロテクトして、ボールを外に誘導する守備に徹した。

  イタリアは左右のウイングバック(右ポリターノ、左フェデリコ・ディマルコ)が大外レーンの高い位置でフリーになってボールを受け、質の高いクロスを前線中央に供給する形が、重要な攻め手のひとつ。しかし後方でのパス回しからの前進が外回りのルートに限定され、予測可能な展開しか作れないため、WBにボールが渡った時には、すでに2人の相手に寄せられている状況に直面するばかりだった。

 前半45分を通して作り出したチャンスは、セットプレーを含めて数えるほど。ボール支配率71%を記録しながら、枠内シュート2本、ゴール期待値0.35xGしか記録できなかった事実が、すべてを象徴している。

 ガットゥーゾ監督は試合後のインタビューで、その理由についてこう語った。

「前半はマヌエル・ロカテッリが最終ラインに下がり過ぎ、ジャンルカ・マンチーニがサイドに押し出されて4人でビルドアップするなど、準備していたのとは違う形になって、ボールがうまく回らなかった。後半はそこを修正してボールの動きが速くなった」

 イタリアのビルドアップは、大筋でポジショナルプレーの原則に従ったもの。3-5-2の基本システムから、左右のWBが一列上がって2トップと同じ高さに進出し幅を取ることで、配置は3-3-4となる。組み立ての流れの中で、中盤の3人が、①最終ラインに落ちる、②サイドに開く、③前線のハーフスペースに上がるといった流動的な動きをすることで、相手を動かしパスコースを作り出して前進、前線にクリーンなボールを届けることがその狙いだ。

  しかし前半は、ロカテッリが中盤から落ちる動きを頻繁に見せて、最終ラインが4人、時には5人が弧を描く形になる一方で、右インサイドハーフのニコロ・バレッラは外に開いてサイドルートの中継点となり、左インサイドハーフのトナーリは早いタイミングで前線に上がってハーフスペースを埋めることが多かったため、10人全員が敵ブロックの外側をぐるりと囲むような配置(数字にすると5-0-5や4-0-6)になり、ミドルゾーンの中央に誰もいない形になることが多かった。当然ながらボールもその経路でしか動かない。守備側にとっては最も対応が楽な形だった。

 試合後のインタビューで、この点について聞かれたロカテッリはこう答えている。

「前半はあのポジションの方がチームに貢献できると思ったけれど、ハーフタイムに監督からもっと前に出ろと言われた」

 後半は、ビルドアップ時の配置がその形に変わって中央のパスコースが生まれたことに加え、立ち上がりの数分間、中盤のイーブンボールに競り勝っての速攻から二度のチャンスを作り、その流れで56分にトナーリがようやく先制ゴール。0-0の状況がもたらすプレッシャーに押し潰される前にリードを手に入れたことで、そこから先は落ち着いて試合をコントロールする流れに持ち込んだ。80分にモイゼ・ケーンが2-0のゴールを決めた時点で、事実上の決着はついたと言えるだろう。

  これでプレーオフの決勝に勝ち進んだイタリアは、ウェールズとの死闘をPK戦で制したボスニア・ヘルツェゴビナと3月31日(日本時間4月1日)、敵地ゼニツァで戦うことになる。事前の下馬評ではウェールズの方が難しい相手と見られていたこともあり、ボスニアが勝ち上がったことを歓迎する向きもある。実際、この北アイルランド戦を中継していた国営放送局『RAI』の番組中、試合後にPK戦の行方を携帯電話の映像で追っていたイタリアの何人かの選手たちが、ボスニアの勝利が決まった瞬間にガッツポーズをした映像がオンエアされるという一件もあった。

 問題は、この映像が当のボスニアにも伝わり、一気に拡散されたこと。SNS上では「傲慢」「リスペクトを欠いている」といったコメントとともに炎上案件となりつつあり、31日の決勝に向けて、プレッシャーと緊迫感をさらに高める要因がもうひとつ加わった格好だ。問題の場面はもちろんミックスゾーンなどの取材エリアで撮影されたわけではなく、ガラス越しに『RAI』のカメラが盗み撮りしたもの。糾弾されるべきは、ボスニアの勝ち上がりを喜んだ選手たちではなく、軽率にこの映像をオンエアした『RAI』であることは言うまでもない。

 現在のFIFAランキングは、イタリアの12位に対してボスニアは66位。Optaの代表チームパワーランキングでもイタリア18位に対してボスニア70位台と、両チームの間には明確は実力差が存在する。ブックメーカーのオッズもイタリア1.3倍、ボスニア3.5倍前後だ。しかしこのプレーオフは一発勝負、しかも敵地ボスニアでの開催である。簡単な試合にならないことは間違いない。

 中4日というカレンダーは、週2試合ペースに慣れている選手たちにとっては十分な休養期間。3大会連続での予選敗退という悪夢を払拭する条件は十分に整っている。まずはチームが万全の状態でこのボスニア戦に臨めることを祈りたい。

文●片野道郎

【動画】トナーリ、ケーンのゴールでイタリアが北アイルランドに勝利、ボスニア・ヘルツェゴビナはPK戦でウェールズを撃破【W杯欧州予選PO準決勝】
 

【動画】スウェーデンのヨケレス、ポーランドのレバンドフスキがゴール!【W杯欧州予選PO準決勝】!


【動画】トッティがキャリアで決めた圧巻の全ゴール集!


配信元: THE DIGEST

あなたにおすすめ