4月から、自転車の交通違反にもいわゆる「青切符」が導入される。これまで主に自動車の交通違反の際に行なわれていた違反処理の方法だが、4月1日より「道路交通法の一部を改正する法律」が施行されることに伴い、16歳以上の自転車利用者にも適用されることになる。背景には自転車の交通違反の検挙件数の増加があるが、対象となる違反行為の幅広さから、SNS上では不安の声が相次いでいる。
「車道を走行することが危険な場合は、例外的に歩道を走行することができます」
「本当にこの制度はじめて大丈夫?」
「とりあえず来月は自転車乗らないでおこう」
4月1日から導入される自転車の「青切符」制度をめぐり、SNSには不安の声が多くあがっている。
警察庁が昨年9月に公開した「自転車ルールブック」によれば、酒酔い運転・酒気帯び運転、妨害運転などの悪質な行為は従来通り刑事処分(赤切符)の対象となる。
その一方で青切符で処理される違反行為として、速度超過や信号無視、無灯火などが挙げられている。
また、近年多い「ながらスマホ」も青切符の対象であり、交通の危険が生じた場合は赤切符により処理されるという。
対象となる違反行為が幅広いため、今回の制度導入をきっかけに自転車の交通ルールを見直す中で、「この場合はどうなのか?」という疑問やモヤモヤを抱える人は少なくないだろう。
そこで今回は、民事事件から刑事事件まで幅広く手掛ける弁護士法人・響の古藤由佳弁護士に、日常で起こりがちなケースについて聞いた。
まず気になるのが、歩道を走っていい条件とされる「車道走行が危険な場合」とはどんなシチュエーションなのかだ。
自転車は法律上「軽車両」と位置付けられ、自動車と同じ「車両」の一種とされる。そのため、「歩道又は路側帯と車道の区別のある道路では、原則として、車道を通行しなければならない(法第17条第1項)」とされている。
車道の端に矢印のような形をした「矢羽根型表示」をよく見かけるが、これは車道の左端に自転車が通行すべき部分や進行すべき方向を示したものだ。
しかし、車道が狭く、かえって危険を感じる場面は多い。そうした場合、歩道走行は認められるのだろうか。古藤弁護士はこう説明する。
「矢羽根型表示のある車道では、原則として当該表示の上を走行することになりますが、路上駐車が続いている場合などで車道を走行することが危険な場合は、例外的に歩道を走行することができます(道路交通法63条の4第1項第3号)。
ただ、あくまでも例外的な措置なので、歩道は歩行者優先が原則で、歩行者の通行を妨げる場合には一時停止義務があります(同上2項)」
子どもの発熱時の後部同乗は…
では、たとえば目的地が道路の右側にある場合、右折後に短距離であれば右側通行をすることは許されるのだろうか。
「自転車が車道を右折する場合は、二段階右折が原則なので、右側通行をする余地はないと思います(軽車両の右折時のルールについて、道路交通法第34条第5項)」
高齢者に多い三輪自転車はどのように扱われるのか。
「高齢者の三輪自転車も、通常の自転車と同じ扱いです。異なる点はありません。ただし、70歳以上の方が自転車走行する場合は、安全のため、歩道を走行することができます(道路交通法63条の4第1項2号、道路交通法施行令第26条2号)」
今回の制度導入にあたり、生活の中で自転車が欠かせない子育て世帯からも切実な疑問が多く寄せられている。
中でもSNSなどでよく見られるのが、「子どもの発熱時など、やむを得ない場合の小学生の後部同乗は認められるのか」というものだ。
自転車のチャイルドシートは、多くの都道府県で未就学児までの使用が認められている。一方で、小学生になってからも、急な発熱などで自力での移動が難しいケースは想定される。
これに対して古藤弁護士は次のように解説する。
「道路状況に危険が生じているなどの理由以外で、原則として定められている交通ルールの例外が認められることは基本的にありません。
違反をとがめられた時に、事実上、事情に鑑みて見逃してもらえるなどの可能性はあるかもしれませんが、原則的には例外は認められません」
では、おんぶ紐を使用しての走行は違反となるのだろうか。
「おんぶ紐を使用しての走行は全国的に認められていますが、年齢制限などは、各都道府県の公安委員会が定めるルールによって異なります。おおむね、16歳以上が運転し、6歳未満の幼児をおんぶすることは認められていることが多いです」

