
ダイエットに挑戦すると、多くの人が「栄養バランスよく、できるだけ多様な食事を取り入れるべき」と考えがちです。
しかし反対に、もし「毎日ほぼ同じメニューを食べること」が、むしろ減量効果を後押しするとしたらどうでしょうか。
米ドレクセル大学(Drexel University)の研究チームはこのほど、食事の「ルーティン化」が減量の成功に関係する可能性を明らかにしました。
研究の詳細は2026年の学術誌『Health Psychology』に掲載されています。
目次
- 同じメニューの「繰り返し」が減量を後押しする
- なぜ同じ食事が効くのか?カギは「意思決定の削減」
同じメニューの「繰り返し」が減量を後押しする
研究チームは今回、過体重または肥満の成人112人を対象に、行動的な減量プログラムのデータを分析しました。
参加者は日々の食事内容を記録し、摂取カロリーや体重の変化が追跡されています。
その結果、プログラム開始から12週間の間に、同じ食事や間食をとり続けた参加者や、日々のカロリー摂取量が一定だった参加者ほど、異なる食事を選んだりカロリー摂取量が大きく変動した参加者に比べて、より多く体重を減らす傾向が確認されました。
具体的には、食事がルーティン化していた人は平均で体重の約5.9%を減らしたのに対し、食事内容に多様性があった人は約4.3%の減少にとどまりました。
さらに重要なのは、日々のカロリー摂取量の安定性です。
研究では、1日の摂取カロリーの変動が100キロカロリー増えるごとに、体重減少量が約0.6%低下することが示されました。
つまり、「何を食べるか」だけでなく、「どれだけ一定の食事を続けられるか」が、減量の成果に影響していたのです。
なぜ同じ食事が効くのか?カギは「意思決定の削減」
では、なぜ同じ食事を繰り返すことがダイエットに有利なのでしょうか。
研究者たちは、その理由を「意思決定の負担の削減」にあると考えています。
現代の食環境では、私たちは日々無数の食べ物の選択肢にさらされています。
そのたびに「何を食べるか」「どれくらい食べるか」を考える必要があり、これが心理的な負担となります。
一方、食事がルーティン化されていれば、こうした判断はほぼ不要になります。
その仕組みについて、チームは次のように説明しています。
① 食事のたびに悩まなくていい
普通のダイエットでは、
- 今日は何を食べるか
- どれくらい食べるか
- カロリーはいくらか
を毎回考える必要があります。
この「判断の繰り返し」が疲れの原因になります。
② 同じメニューなら自動化できる
同じ食事を繰り返すと、
- 何を食べるか決まっている
- カロリーも分かっている
つまり「考えなくてもできる」
これは歯磨きのような習慣化された行動に近い状態です。
③ カロリーが安定する
食事が固定されると、
- 食べ過ぎる日
- 食べなさすぎる日
のブレが減ります。
研究でも「カロリーのブレが大きいほど痩せにくい」と示されています。
④ 誘惑に負けにくくなる
毎回、別のメニューを選んでいると、
- 「今日はいいか」と高カロリーに流れやすい
しかしルーティン食なら、
そもそも選ばないので誘惑が入り込む余地が少ない
このように食事メニューをルーティン化することで、メニューを考える負担を減らしながら、余計な間食を防ぎ、毎食の摂取カロリーを安定させられるのです。
これにより、減量効果が有意に高まるのだと考えられます。
ただし、今回の結果はあくまで12週間の短期的な傾向であり、長期的な影響については今後の検証が必要です。
ダイエット成功の鍵は「選択を減らすこと」かも
今回の研究は「多様な食事こそ健康的」という常識に対して、少し違った視点を提示しています。
もちろん、栄養バランスの重要性は変わりませんが、減量という観点では、「同じ健康的な食事メニューを続ける」というシンプルな戦略が有効に働く可能性があります。
毎日の食事選びに悩み、つい誘惑に負けてしまう人にとっては、選択肢を減らすこと自体が一つの解決策になるかもしれません。
ダイエットの成功は、意志の強さだけでなく、日々の行動をどれだけ「迷わず続けられる形」にできるかにかかっているのです。
参考文献
Eating The Same Meals Every Day May Have a Surprising Effect on Weight Loss
https://www.sciencealert.com/eating-the-same-meals-every-day-may-have-a-surprising-effect-on-weight-loss
元論文
Do routinized eating behaviors support weight loss? An examination of food logs from behavioral weight loss participants.
https://doi.org/10.1037/hea0001591
ライター
千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。
編集者
ナゾロジー 編集部

