『W3事件』は、神のいたずらだったのか?
『W3事件』が起こらなくても、劇画ブームはいずれ到来したでしょう。しかし、この事件はその流れを加速させたと考えられます。結果的に、日本のマンガ・アニメ界を急速に発展させました。一方の手塚治虫先生は劇画の勢いに押され、子供向けマンガしか描けない「時代遅れ」と揶揄されるようになり、ヒット作に恵まれなくなります。これは本人も「冬の時代(1968~73年)」と認めるほどでした。
しかし、手塚先生もまた、この苦境をバネに生み出した『ブラックジャック』(「少年チャンピオン」、1973年)で復活。その後は『ブッダ』、『アドルフに告ぐ』など、大人も楽しめる作品を多数手がけ、現在では「マンガの神様」と称えられる存在となりました。
『W3事件』がなければ、手塚先生は安定的にヒットを続けられたのか? 劇画はブームになったのか? それは誰にも分かりません。
