
鎌田も主張「現代サッカーでは推進力がすごく大事」。イングランド戦で日本代表が示した“高速2シャドー”の可能性
北中米W杯を2か月半後に控えて、日本が優勝候補のイングランドに聖地ウェンブリーで勝利を収めたことは大きな意味を持つ。
もちろん、前日会見で森保一監督が強調したように、完全アウェーでの親善試合の勝利が、本大会でのそれを約束するわけではない。それぞれが多くの怪我人や欠場者を抱えたなかでの対戦だったことも確かだ。
それでも、イングランドの顔ぶれを見れば、世界最高峰と言われるプレミアリーグのクラブで主力を張る選手たちであり、ドイツ人のトーマス・トゥヘル監督は日本の試合をいくつも見て、分析してきた。強敵であるのは間違いない。
変則型の2ウイング・2シャドーのような形で、フィル・フォーデンをはじめとした相手アタッカーが侵入を狙ってきたのに対して、日本の選手たちは柔軟に対応した。
ボール支配率で上回られても、バタバタすることなく、マンツーマン気味のハイプレスと、中閉めを意識した5-4-1のミドルブロックを使い分けながら、ディフェンスライン中央の谷口彰悟をカバー役とし、イングランドに決定的なスペースを与えない。そこから強引に持ち込まれても、GK鈴木彩艶が頼もしい最後の砦として立ちはだかった。
その流れから23分、プレスバックでコール・パーマーからボールを奪った左シャドーの三笘薫を起点に、鎌田大地、上田綺世を絡めた細かいパス回しから、三笘が得意のドリブルでイングランド陣内の深くまで侵入する。
その動きに左サイドで呼応した中村敬斗に展開すると、上田の動きを囮に三笘がバイタルエリアでスタンバイ。中村の折り返しを見事に右足で捉えて、GKジョーダン・ピックフォードの足もとを破った。
このシーンに関して、鎌田は「チームとして閉めることができて、取ってから後ろではなく前にプレーできた。カウンターができたんじゃないかと思います」と話し、「僕はずっと言い続けてますけど...」と前置きして、前目のポジションの選手たちに求められる推進力に言及した。
「世界のトップとやると、足もとのうまさだけではどうしようもなくて。取ってからできるだけ前に。現代サッカーでは推進力がチームとしてもすごく大事。そういう面で、自分が7、8年前から言ってることは正しかったと思う」
左の三笘に加えて、イングランド戦で右シャドーは同じく縦の推進力に優れる伊東純也が担っており、右ウイングバックで攻守に奮闘する堂安律とともに、右側からイングランドに脅威を与えていた。
そうした特長のある選手は、配球役となるボランチとしても活かしやすいのだろう。鎌田は二人の高速型シャドーの有用性を認めながら「薫と純也君だけじゃなくて、左の敬斗、右の律もどんどん前に行けるし、前線の綺世もすごく身体を張ってポストプレーもしてくれてた」と語る。
森保ジャパンでは、シャドーとボランチの両ポジションで起用されている鎌田は、後半途中から10分間ほど左シャドーに上がり、右に回った中村と2シャドーを形成した。そこに関して鎌田は「僕たちがシャドーに行ったタイミングが、もう特に攻撃してるわけじゃなかったので。守備の部分で、ある程度やってましたけど」と振り返る。
積極的に追加点を狙うよりは、前目から守備強度を出しながら、イングランドの起点を限定する役割がメインだったようだ。
左に三笘、右に伊東を配置する今回の2シャドーは、鎌田が言う縦の推進力に加えて、もう一つのメリットがある。二人とも森保ジャパンではウイングバックの経験があるだけに、アウトサイドの左の中村、右の堂安と必要に応じてポジションチェンジをするなど、守備と運動量の負担をシェアできるのだ。
時間帯もそうだが、ハイプレスをかけた流れでポジションが入れ替わっても、そのまま対応できる柔軟性は、この布陣での安定につながっていた。
2シャドーはこれまで南野拓実が主力を担ってきたポジションであり、今回は久保建英も欠く状況で、スコットランド戦では鈴木唯人や佐野航大がアピール。イングランド戦の終盤には、昨年の11月シリーズに続き、本職FWである町野修斗も起用されたが、三笘&伊東の2シャドーは明確なオプションとして、森保監督のプランにインプットされたはずだ。
取材・文●河治良幸
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