
【北中米W杯出場国紹介|第27回:ボスニア・ヘルツェゴビナ】イタリアにも勝ち切る精神的な強さ。最大の特長は経験豊富なベテランと新世代の融合
欧州プレーオフ決勝でイタリアをPK戦の末に破り、2014年ブラジル大会以来のW杯出場を決めたボスニア・ヘルツェゴビナ。欧州予選でオーストリアと激しい首位争いを繰り広げ、2位でプレーオフのパスAに回り、命運のかかる総力戦となった2つの試合で、90分を通して粘り強く戦い抜く組織力と、土壇場で勝ち切る精神的な強さを見せた。
決勝のイタリア戦に先立つ準決勝では、敵地カーディフでウェールズと対戦。ダニエル・ジェームズ(リーズ)のゴールで先制を許す苦しい展開となったが、終盤にエディン・ジェコ(フィオレンティーナ)のゴールで追いつき、PK戦を4-2で制して決勝進出を果たした。
前線に君臨するジェコの存在感に加え、5大リーグのビッグクラブからも関心が伝えられる若手のケリム・アライベゴビッチ(レッドブル・ザルツブルク)が勝負所で落ち着きを見せ、チームを救った一戦だった。
そして迎えた決勝では、W杯優勝経験を持つイタリアを相手に、先にGKニコラ・ヴァシリ(ザンクトパウリ)のミスで失点しながらも、相手の退場で優位に立つと、終盤にジェコのアシストから途中出場のハリス・タバコビッチ(ボルシアMG)の同点ゴールで食らいつく。
延長戦はなかなかイタリアのゴールを破れないままPK戦となったが、ホームの後押しを受けたヴァシリの奮起もあり、4-1で歓喜の勝利を引き寄せた。
母国のレジェンドである、熱血漢のセルゲイ・バルバレス監督が率いるチームの最大の特長は、経験豊富なベテランと新世代の融合にある。
長年チームを支えてきたジェコは得点源であるだけでなく、エルメディン・デミロビッチ(シュツットガルト)と共に前線で起点を作り、厚みのある攻撃を引き出す。また若い選手たちを落ち着かせる精神的支柱としての役割も大きい。ただし、現在のチームが“ジェコ頼み”という考えは間違いだ。
中盤ではベンヤミン・タヒロビッチ(ブレンビー)やアーミン・ギゴビッチ(ヤングボーイズ)といった20代前半の選手たちが運動量と強度を担い、チームの生命線である守備から攻撃へのトランジションを支える。相手に押し込まれる時間帯には耐えながら、試合をコントロールできるユニットだ。
ディフェンスラインでは23歳のタリク・ムハレモビッチ(サッスオーロ)が圧倒的なデュエルの強さで、相手FWを封じている。
さらに欧州予選やプレーオフで存在感を増したのが、勢いのあるアタッカーたちだ。アライベゴビッチやエスミル・バイラクタレビッチ(PSV)らは、プレッシャーのかかるPK戦でも動じず、決定的な仕事をやってのけた。
こうした若い世代が、ジェコや左サイドバックから攻守を支えるセアド・コラシナツ(アタランタ)の背中を見ながら成長していることが、チーム全体の底上げにつながっている。
4-4-2をベースとするチームは戦術面でも、守ってカウンターを狙うだけでなく、相手に応じてブロックの高さを調整し、必要であればボール保持も。落ち着いて試合を運べる柔軟性がある。
相手や試合状況に応じて戦い方を変えられるのは、本大会でも強みになりそうで、決勝トーナメント進出も十分に狙える。グループBで、開催国カナダとの初戦を良い形で勝利につなげて、グループステージで大一番となるスイス戦で勝点を掴み取れば、カタールと対戦する3試合目に大きな希望をつなげるだろう。
文●河治良幸
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