大正12年生まれ、雨の日も風の日も猛暑も大雪もものともせず、101歳まで薬剤師として現役を貫いた比留間榮子さん。彼女がかけるひと声、添えるその手は地元で評判となったが、一方で、元気な人にはある共通項があると語る。
比留間さんの著書『ほどよくまわり道して生きていく』(サンマーク出版)より抜粋・再構成してお届けする。
元気長寿にはリズムがある
<元気な人には、長年変わらず続けてきた暮らしのリズムがあります。食べて、動いて、眠って、人と話す日常を大切に。>
お客様を長年見ていて思うのは、元気なご高齢の方には、やはり共通項があるなぁ、ということです。
若いころからバランスのとれた食事を心がけ、しっかりと睡眠をとり、適度な運動を続け、自分なりのストレスの発散方法を見つけて、日々を活発に過ごしてきた方が多いように感じます。
定年などをきっかけに家で過ごす時間が増えると、人はどうしても物事に取り組むのが億劫になりがちです。けれども、定年後も仕事をしていたころと同じように、生活のリズムを大切にし、日常的に外に出て、からだを動かすことを意識している方は、いつまでもお元気でいらっしゃいます。
私自身、今もこうして元気に働けているのは、息子の妻で薬剤師でもある公子(きみこ)さんが、毎日栄養バランスを考えたお弁当を用意してくれているおかげです。
日中はしっかり働き、おいしく食べて、夜はぐっすり眠る──そんなあたりまえの積み重ねが、今の自分を支えてくれているのだと思います。
もうひとつ、人と会話をすることは、年代を問わず、すべての人にとって脳を健やかに保つための「くすり」のようなものです。
薬をお出しする仕事をしながら、実は私のほうが、お客様との会話から元気をいただいてきたのかもしれません。そう思うと、本当にありがたいことだと感じます。
「淡々と」がいい
<「淡々と」過ごすことは、流されないということです。自分のリズムを守ることで心は整い、一日が静かに動き出します。>
日々淡々と過ごすということは、実は、とても効率のよい時間の使い方なのかもしれません。
自分がやるべきことをこなすには、まず、そのときそのとき、きちんと自分で判断して決断をすることが必要です。
さらに、優先順位も大切で、今日の予定、自分や一緒に働く人たちのスケジュールや役割分担について把握していないと、直前になってあわてたり、約束の時間に間に合わなかったりということが起きてしまいます。
「淡々と」ということは、決してダラダラと生産性なく過ごすということではありません。その正反対で、やらなければならないことがわかっていて習慣化されているからこそ、気分に左右されずにやるべきことを実行できます。
私は毎朝、家で「今日は誰が早番か遅番か」をチェックして、家を出る15分前にタクシーを呼び、8時50分にはお店に着くようにしています。
最近は、この毎日のあたりまえに思える、淡々と支度をする時間が自分を整えていることを実感します。少しずつ仕事モードへと心とからだが移り変わり、頭のなかが整理される、おごそかな時間です。
もちろん、私がこうしたことがらを、長く続けてこられたのは、仕事を続けられる幸運な環境があったからです。人にとって毎日行う決まったことは、自分を律するリズムをつくる、とても大切な存在のような気がします。
文/比留間榮子

