見えてきた、小さな違和感
ある週末、彼が「仕事がある」と言って出かけた日のことでした。何気なく洗面台を片付けていると、見覚えのないヘアゴムがひとつ落ちていました。「誰かが来たのかな」とぼんやり思いながらも、深く追わないようにしました。
しかし数日後、棚の隅に見知らぬピアスを見つけたのです。自分のものではありません。押し入れを開けると、うっすら知らない香水の匂いが漂ってきました。「気のせいかもしれない」と自分に言い聞かせ続けました。
食欲が落ち、夜中に目が覚めることが増え、以前は好きだった「彼の帰りを待つ時間」が、少しずつ苦しいものに変わっていきました。
そっと進めた準備
怒りをぶつけても何も変わらないと感じましたし、傷つき合う時間にもう体力を使いたくなかったのです。代わりに、気づかれない範囲で動くことを選びました。大切なものから少しずつ段ボールに詰め、次の住まいを探し始め、信頼できる友人に事情を話しました。
「いつでもおいで。部屋、空いてるから」その言葉が、どれほど支えになったかわかりません。自分を守ることをちゃんと選ぼうと、決意しました。
