
北村一輝さんプロフィール写真
【画像】え、「そうなの」 コチラが地元で評判の美人と言われていた『風、薫る』りんのモデルの人物です
2話で獅子舞に噛まれてたけど
2026年前期の連続テレビ小説『風、薫る』では、第4話にして主人公「一ノ瀬りん(演:見上愛)」の父「信右衛門(演:北村一輝)」がコレラによって亡くなったと思われる場面が描かれました。続く『あさイチ』のMC、博多華丸・大吉さんも「我々あさイチ担当するようになって17作目なんですけど、最速じゃない?」と驚いています。
実際は前々作の『あんぱん』のヒロインの父「朝田結太郎(演:加瀬亮)」も、第4話で亡くなったので「最速タイ」です。ただ、結太郎の場合は、家族に彼が出張の帰りの船で心臓発作で亡くなったという連絡が入る形だったのに対し、『風、薫る』はコレラに感染した信右衛門は自分のいる小屋にりんを入らせず、戸を挟んだ間近で衰弱していくという、より非情な展開を迎えました。
さらに、東京から帰ってきた母の「美津(演:水野美紀)」と妹の「安(演:早坂美海)」は、村がコレラで封鎖されたせいで信右衛門のもとへ行けませんでした。4話ではどうすることもできない美津が、獅子舞をして「コロリ(コレラ)に労咳(結核)、風邪に熱、獅子にかまれりゃ病気知らずってもんだ」と練り歩く人々を苦々しげに見つめる場面も描かれています。
第2話では村の祭りで信右衛門が獅子舞に噛まれ、これで病気にならないと笑う場面もありました。視聴者からは「ついこないだ、獅子舞に噛まれながら『これで病にならぬぞ!』とはしゃいでたのに。伏線回収があまりに早すぎます!」「病気避けのはずの獅子舞が」「ていうか獅子舞に噛まれたから、感染したんじゃ無いの?」「感染源が獅子舞ありそうだわ」と嘆く声、お祭りにやってきた獅子舞が感染元ではないかと言った声まで出ています。
獅子舞が感染の原因かは分かりませんが、こういった厄除けのようなものが「無意味」に見える演出は、『風、薫る』の原案となっている、歴史学者の田中ひかるさんによる書籍『明治のナイチンゲール 大関和物語』の記述が基になっているのかもしれません。りんのモデルで日本の看護婦の地位を向上させた大関和(おおぜき・ちか)の生涯の物語が書かれたこの本では、信右衛門のモデル・大関弾右衛門の死についても触れられています。
『大関和物語』だと1876年5月(当時、和は18歳)に亡くなった弾右衛門は、「流行り病」にかかったと記述されており、コレラに感染したわけではないようです。史実では和の生まれた黒羽藩(現:栃木県大田原市)の地域でコレラが流行ったのは、1879年頃だといわれています。ドラマではここを繋げて、父の死因をコレラにしたのでしょう。
弾右衛門が倒れた際、美津のモデルである和の母・哲は、なけなしのお金をはたいて「近所で評判の拝み屋」を連れてきたそうです。そして、家族はその拝み屋の指示通り疫病退散の札を家に貼ってまじないを唱えたものの、弾右衛門はあっけなくこの世を去ってしまいました。これが和が命のはかなさを知った最初の体験であり、のちに看護の道に進むひとつのきっかけにもなったといいます。
原案の書籍にこういった逸話が載っているため、「拝み屋」の代わりに「獅子舞」を現実の病気に対して無力な、「迷信」として描く演出が入ったのかもしれません。
※参考:『明治のナイチンゲール 大関和物語』(中央公論新社)
