
「ウルトラ特撮 PERFECT MOOK vol.01 ウルトラセブン」(講談社)
【画像】え、「隊員服を脱いだ私」? コチラが『ウルトラセブン』アンヌ隊員の衝撃姿です
ガッツ星人ではなくスラッガ星人
『ウルトラセブン』でウルトラセブンが初めて明確な敗北を喫したのが、第39・40話「セブン暗殺計画前篇・後編」です。「ガッツ星人」に捕らえられ、十字架に磔(はりつけ)にされるセブンの姿は、シリーズ屈指の衝撃的な場面でした。
このエピソードの裏側に、重要な事実があります。それは、当初この物語が最終回として構想されていたことです。企画段階でのタイトルは、「セブン暗殺命令」で1話完結でした。
番組は、1968年の第3クール第39話(7月7日放送)で終了の予定だったそうです。最終回の内容は、担当の飯島敏宏監督と藤川桂介さん(脚本)の間で進行し、1月下旬には準備稿が上がります。その後、番組は10話分の延長が決定したため脚本は何度か見直され、4月中には、現行の脚本を前編と後編に二分して制作することに決まったそうです。
気になるのは、幻の最終回「セブン暗殺命令」と「セブン暗殺計画」に、どのような違いがあったのかです。いくつかの番組関連本などで得た情報から、分かった範囲でお伝えします。
まず、放送された「セブン暗殺計画・前篇」のあらすじは、地球侵略を狙うガッツ星人が送り込んだ怪獣「アロン」をセブンと戦わせ、セブンの戦闘能力データを収集して戦略を練り、セブンを捕獲し、丘の上の十字架に磔にして、夜明けに処刑すると宣言する……という流れでした。
一方、「セブン暗殺命令」の内容は……作戦室の電話が鳴り、主人公「モロボシ・ダン」は「スラッガ星人」に呼び出されます。セブンは、現れた星人と戦って勝利しますが、これは罠でした。
スラッガ星人は1号から5号までおり、5号を犠牲にセブンの戦闘データを取っていたのです。そして、セブンはエネルギーを消費し尽くすと活動が鈍る、という弱点に気付きます。リーダーの1号は、3体の部下にセブン暗殺を命令するのでした。
その後、スラッガ星人の宇宙船基地が飛来した丘でウルトラ警備隊と戦闘になります。星人は、ダンに対して「仲間になれ」と迫りました。ダンは、狙いは自分なのだと悟りセブンに変身しますが、対する星人3体に全ての技を見切られてしまい、やがてエネルギーが切れます。そして、空に浮かぶ十字架に磔にされてしまうのでした……。
時間配分は分かりませんが、ここまでで中盤かと思います。後半は、本編「セブン暗殺計画・後編」と大差はなく、ウルトラ警備隊が独力でセブンを救出するストーリーとのことでした。本編にある、「ダイモード鉱石」の奪い合いは、新たなアイディアとして足されたものです。

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燃やされるのは、ウインダムではなくミクラスだった
さらに、放送では、カプセル怪獣「ウインダム」が登場して倒されますが、準備稿では「ミクラス」でした。なぜ変更されたかは明らかにされていません。また、残念ですが「セブン暗殺命令」の結末で、セブンはM78星雲へ帰るのか、ダンはどうなる予定だったのか、については、今回は確認することができませんでした。
実際に放送された「セブン暗殺計画・後編」で、印象に強いセリフがあります。隊員たちがセブンを救出に向かう際、「タケナカ参謀」は「これが、我々の最後の作戦だ!」と鼓舞していました。
よく考えると「最後」とは大げさな気もしますが、これは、最終回として書いたセリフの名残ではないかと思います。ただ、それだけの覚悟で挑む大一番であり、視聴者までも「セブンを救うんだ!」と団結させる一言だったといえるでしょう。
もしも、この第39話が最終回で、一度は敗北したセブンを人類が救い、セブンの勝利で締めくくるような結末だったなら、同じく敗北で幕を閉じた『ウルトラマン』の最終回を上回るインパクトは残らなかったかもしれません。「セブン暗殺計画」が、その後の最終回へと物語をつなぐ大きな転機となったからこそ、今も名作として語り継がれているのでしょう。
※参考資料:「ウルトラセブン研究読本」(洋泉社MOOK)、「ウルトラセブンの帰還」(双葉社)、「大人のウルトラマンシリーズ大図鑑」(マガジンハウス)
