
韓国映画で初めて、第74回ベルリン国際映画祭「Generation Kplus」部門の最優秀作品賞にあたるクリスタル・ベア賞を受賞した本作。どんな時でもポジティブな主人公イニョンを演じたのは、『ソウォン/願い』(13)で映画デビューを飾り、『新感染半島 ファイナル・ステージ』(20)や『犬どろぼう完全計画』(14)など、数々の作品に出演するイ・レ。そして、魔女と呼ばれる完璧主義かつ冷徹な先生、ソラ役を『毒戦 BELIEVER』(17)での狂気的な演技が話題となったベテラン俳優チン・ソヨンが務める。さらに、イニョンを陰ながら支える町の薬局で働く薬剤師ドンウクをソン・ソック、イニョンを敵対視している芸術団のエース、ナリをチョン・スビン、イニョンの唯一の友人ドユンをイ・ジョンハが演じた。メガホンを取ったのは、ドラマ「恋愛体質〜30歳になれば大丈夫」や「私が死ぬ一週間前」などで知られるキム・ヘヨン監督。本作が長編監督デビュー作となり、2025年青龍映画賞で新人監督賞を受賞した。
今回、本番前の舞台裏と鮮やかな韓国舞踊の演舞を映す本編映像が解禁となった。映像には、舞台裏で出番を待つ芸術団の少女たちの様子が収められている。“魔女”と恐れられる監督のソラ(ソヨン)が、「本番まで、あと1分」と静かに告げると、華やかな衣装をまとい整列する少女たちの表情には緊張が走る。そのなか、ひとり本番用の靴を忘れ、履きつぶされた練習用の靴で臨むイニョン(レ)。ソラはイニョンの足元のわずかな落ち着きのなさに気づき鋭い視線を向けるも、言葉をかけることはない。張り詰めた空気のなか、「開演時間です」という声を合図に、ソラが冷たい表情のまま手を打ち鳴らす。その音に背中を押されるように、一斉に舞台へと駆け出していく少女たち。会場は大きな拍手に包まれ、ライトに照らされたステージで韓国舞踊「六鼓舞」の演舞が幕を開ける。そして、並び立つ太鼓を力強く打ち鳴らすパフォーマンスが鮮やかに映しだされ、映像は締めくくられる。
圧倒的な存在感で芸術団を指揮する完璧主義のソラ。一方、たとえボロボロの靴であっても、ひたむきに、そして楽しそうに舞い踊るイニョン。静と動の正反対な二人が互いに影響を与え合い、少しずつ変化していく姿が、本作最大の見どころだ。ソラを演じたソヨンについて、ヘヨン監督は「チン・ソヨンさんは冷たさと温かさが共存するイメージを持っています。ソラというキャラクターに起こる変化を体現できる俳優だと思いました」と厚い信頼を寄せる。
一方、イニョンを演じたレは、自身の役柄について「彼女が輝いているのは『ダンスが大好きだから』です。なにかに打ち込む姿があったからこそ、ポジティブな魅力がより光を放ったのではないでしょうか」と、そのポジティブさの源泉を明かしている。
華やかな芸術団と、そこで出会った正反対な2人。世代を超えた実力派俳優が、これからどのようなハーモニーを織り成していくのか?その続きを、ぜひ劇場で見届けてほしい。
文/鈴木レイヤ
