
「一夜限りの関係は後悔につながる」
そんなイメージを持っている人は少なくないでしょう。
特に女性のほうが後悔しやすいという話は、これまで多くの研究でも示されてきました。
しかし本当に問題なのは「女性だから後悔する」ことなのでしょうか。
それとも、その裏に別の理由があるのでしょうか。
オーストリア・インスブルック大学(University of Innsbruck)らの最新研究は、この素朴な疑問に対して意外な答えを示しました。
実は、女性が後悔しやすいのは「性別そのもの」ではなく、「ある条件」が重なったときに限られていたのです。
研究の詳細は2026年2月25日付で学術誌『Archives of Sexual Behavior』に掲載されています。
目次
- 同性同士だとワンナイトは後悔しない?
- 女性の後悔を生む最大の要因とは?
同性同士だとワンナイトは後悔しない?
今回の研究は、少なくとも一度はワンナイトの経験がある男女1075人を対象に行われました。
参加者は直近の体験を振り返り、満足度や後悔、状況などを詳しく評価しています。
その結果、まず明らかになったのは、一般的なイメージとは異なる事実でした。
多くの人はワンナイトの経験を「中立」または「ポジティブ」と評価しており、まったく後悔していない人も約半数にのぼったのです。
つまり、「ワンナイト=後悔」という単純な構図は当てはまらないことが示されました。
一方で、確かに女性のほうが男性より後悔を感じやすい傾向は確認されました。
しかしここで重要なのは、その差が「どんな状況でも」見られるわけではなかった点です。
分析の結果、男女差が現れたのは「異性愛の関係」に限られていました。
同性同士のワンナイトでは、男女間で後悔の差はほとんど見られなかったのです。
この結果は「女性は生物学的にカジュアルな性行為を後悔するようにできている」という従来の見方に疑問を投げかけます。
もし本当にそうであれば、相手の性別に関係なく後悔するはずだからです。
つまり問題は「女性という性別」ではなく、「関係の中身」にある可能性が浮かび上がってきました。
女性の後悔を生む最大の要因とは?
では、何が後悔の差を生み出しているのでしょうか。
研究が特に注目したのが「性的満足度」です。
その結果、男女差を最も強く説明していたのは、オーガズムに達したかどうかでした。
異性愛の関係では、男性のほうがオーガズムに達する割合が高く、満足度も高い傾向があります。
一方で女性は、オーガズムの達成率が低く、全体として満足度が低くなりやすいことが知られています。
この「快楽の非対称性」が、そのまま後悔の差として現れていたのです。
つまり、女性が後悔しやすいのは、性別の問題ではなく「満足できなかった体験」が多いことに起因していると考えられます。
さらに、いくつかの要因が後悔を強めることも明らかになりました。
例えば、はっきりとした強制ではなくても、「なんとなく流れで応じてしまった」と感じる場合、後悔は強まりやすくなります。
また、周囲からどう見られるかという評判への不安も、女性の後悔を増幅させる要因でした。
そしてもう一つ興味深いのが、アルコールの影響です。
研究では、飲酒と後悔の関係が強い関連性を持つことが確認されました。
少量の飲酒では後悔はそれほど増えませんが、強い酩酊状態になると、男女ともに後悔が大きく増加していたのです。
これは、判断力や意思決定能力が低下することに加え、性的な満足度そのものが下がる可能性があるためと考えられます。
「後悔しやすさ」は性別ではなく“状況”で決まる
今回の研究が示した最大のポイントは明確です。
それは、ワンナイトの後悔は「女性だから起きる」のではなく、「どんな体験だったか」によって決まるということです。
満足度が高く、自分の意思で選んだと感じられる関係であれば、後悔は生まれにくくなります。
逆に、満足できなかったり、流されて決めてしまったりすると、後悔は強まりやすくなるのです。
研究者たちは、ポジティブな結果を得るためには「相互の満足」と「自律的な意思決定」が重要だと結論づけています。
一見すると個人的な体験に見えるワンナイトの関係ですが、その背後には人間の心理や社会的な要因が複雑に絡み合っています。
今回の研究は、私たちが「後悔」という感情をどのように生み出しているのかを、より現実的な視点から捉え直すきっかけになるかもしれません。
参考文献
Are women more likely to regret one-night stands? Only when they sleep with men
https://www.psypost.org/are-women-more-likely-to-regret-one-night-stands-only-when-they-sleep-with-men/
元論文
The Gender Gap in One-Night Stand Regret: Evidence from Heterosexual and Same-Sex Encounters
https://doi.org/10.1007/s10508-025-03380-3
ライター
千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。
編集者
ナゾロジー 編集部

