閉店件数が過去最高を更新している美容院業界。コロナ禍以降のセルフカットの増加や人手不足など、様々な理由が挙げられるが、ここに「大きな異変」が起きている。
これまで「勝ち組」とされてきた高単価サロンから、美容師たちが続々とリーズナブル価格帯の大手チェーンへと移動しているのだ。一体、何が起きているのか。
従来、高単価サロンは「少ない客数で高収入」を実現できる花形ポジションだった。しかし、現実は甘くない。指名客に依存するビジネスモデルのため、SNSでの自己発信やブランディングに追われ、売上は常に不安定。来店頻度の低下や節約志向の影響が直撃し、「稼げるが続かない」という苦境が際立ってきた。
リーズナブル系の大手サロンは、真逆の構造だ。集客は会社任せでフリー客が安定供給され、指名ゼロでも売上が立つ。単価は低いが回転数は圧倒的で、結果的に月商は高単価店を上回るケースが珍しくない。固定給と歩合のバランスもあり、年収ベースでは「逆転現象」が起きている。
指名で月100万円以上を売り上げた敏腕美容師の「偽らざるホンネ」
かつて指名で月100万円以上を売り上げていた美容師が大手に移籍後、収入を維持または向上させつつ、労働時間や精神的負担を大幅に軽減したという例がある。「売れ続けるプレッシャーから解放された」という本音が、その実態を物語っているのだ。
もっとも、トップ層に限れば話は別だ。圧倒的な指名力を持つ美容師は依然として、高単価店やフリーランスの方が高収入を得やすい。しかし中堅層にとっては「安定して稼げる場所」へとシフトするのは自然な流れといえる。
美容師はもはや夢の職業ではなく、現実的な収入と働き方を選ぶ時代に入っているのだ。
(カワノアユミ)

