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「ペットボトル1本分(117円)のために命を削るのか」高額療養費“負担増”で患者が訴える現実…受診控え65.7%の衝撃

「ペットボトル1本分(117円)のために命を削るのか」高額療養費“負担増”で患者が訴える現実…受診控え65.7%の衝撃

政府の2026年度予算に基づく施策で経済的負担が大きく増えることが懸念されるのが、重病治療にかかる高額な医療費の一部を支援する「高額療養費制度」の利用者だ。患者の負担限度額を引き上げる方針の政府に対し、野党は予算審議終盤、撤回を強く求めた。昨秋には引き上げに反対していた高市早苗首相だが、その後は真逆の「新方針」を打ち出し、撤回する気配はない。

凍結はどこへ? 水面下で進む“負担増”の実態

「現時点でもすでに経済的負担のために治療を控える、あきらめている患者さんがいます。高額療養費の見直しでさらに増える可能性はあるかと考えます」

4月2日、参議院厚生労働委員会に参考人として出席した天野慎介・全国がん患者団体連合会(全がん連)理事長の話に委員会室は静まり返った。

高額療養費制度は石破前内閣が編成した2025年度当初予算案で自己負担限度額を最大で月76%引き上げる方針が示された。

だが当時の石破首相は結局、患者の声を聞かない改定の非を認め「私の判断が間違いだった」と陳謝し凍結した。

「ポスト石破を決めた党総裁選で、当時の高市候補はメディアのアンケートに対し限度額を『引き上げるべきではない』と答えています。

しかし、高市政権が発足した後の昨年12月に、厚生労働省は引き上げる内容の改訂を決めました。

見直しは、26年8月に限度額を一律に引き上げ、27年8月には所得区分を現行の4から13に細分化して限度額をさらに見直す内容です。

年収650〜770万円の所得区分では、⽉額上限は現⾏の8万100円から最終的に11万400円へと約38%増える内容です」(政治部記者)

改定では、年4回以上の制度利⽤者の負担上限を⼀定額に抑える既存の「多数回該当」制度を維持し、年収200万円未満の所得区分の人はこの仕組みでの支払い上限額が引き下げられた。

また現役世代には年間上限負担額(年収650〜770万円で53万円)が新たに設けられた。

これについて高市首相は2月の衆議院本会議で、「高齢化や高額薬剤の普及などにより高額療養費が増加するなかで、持続可能性の確保と長期療養者や低所得者へのセーフティネット機能の強化の両立を目指して見直す。具体的には専門委員会での議論も踏まえ年間上限の仕組みを新設する」と発言した。

実際にセーフティネット強化になるのか。

全国保険医団体連合会(保団連)の本並省吾事務局次長は、厚労省の資料を基に「多数回該当の対象にならない年3回以下の制度利用の患者は約660万人で、全利⽤者の約8割を占める」と指摘する。

いっぽうステージ4の肺腺がんで闘病中の水戸部ゆうこさん(51)は、「私は長期療養者ですが、標準治療の間に治験薬による治療をはさんだり、体を休ませるため薬を入れない“休薬”をしたりして(1年間の治療回数が4回に達せず)多数回該当から外れることを経験してきました。だから全然配慮になっていない」と訴える。

上野賢一郎厚労相「必要な受診が抑制されることは想定していない」

こうした負担増で最も憂慮されるのが冒頭で天野理事長が指摘した「受診控え」だ。

政府は改定で年2450億円の給付削減を見込む。患者や医師団体が不信を募らせるのは、このうち1070億円は医療費負担上昇に伴う受診控えが生み出すと政府が計算しながらそれを認めないことだ。

上野賢一郎厚労相は「今回の見直しで最終的に実効給付率が約0.28%低下すると見込まれている。実効給付率が変化した場合に経験的に得られている医療費の増減効果の算定式に機械的に数値を代入すると給付金の変化(減少)が約1070億円の減となる」と説明する。

だが同時に「長期療養者や低所得者に十分配慮しており、必要な受診が抑制されることは想定していない」とも主張するのだ。

そのようなことがあり得るのか。

保団連の患者調査では高額療養費制度利用経験者1328人のうち65.7%の872人が「負担限度額引き上げなら受診の間隔を延ばす、見送る」と答えている。これは低所得者層だけの話ではない。

世界保健機関(WHO)は所得から税金・保険料と生活費を差し引いた「支払い能力」のなかで、医療費の支払いが40%超の状態を「破滅的医療支出」と呼び、家計の破綻を警告する。

3月の衆院予算委にも呼ばれた天野理事長は、安藤道人立教大教授の研究を基に、今回の改定で負担が増えれば、患者が年収を維持できても「ほとんどの年収区分で40%を超える」と指摘した。

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