
俳優の高橋一生が、4月10日に都内で開催された映画「脛擦(すねこす)りの森」公開初日舞台あいさつに、共演の蒼戸虹子、黒崎煌代、脚本・演出を手掛けた渡辺一貴監督と共に登壇。最初に脚本を読んだときの感想や、“憧れの人”との初対面で緊張したことなどを語った。
■“岸辺露伴”タッグによる新作オリジナル映画
同作は、荒木飛呂彦氏の人気コミックを実写化した「岸辺露伴は動かない」シリーズなどで高橋とタッグを組んだ渡辺監督のオリジナル脚本を映画化したもの。岡山に伝わる妖怪伝承に着想を得て描かれる、神秘的で美しくも残酷な愛の物語だ。
人里から離れた深い森で足に傷を負った若い男(黒崎)は、女の甘い歌声に導かれ、古い神社にたどり着く。そこには謎の男(高橋)と若く美しい妻(蒼戸)が暮らしており、若い男はそこで夢のような、時の止まったような時間を過ごす――というストーリー。
「すねこすり」というのは、道を歩く人々の足にまとわりついて離れず、通行の邪魔をするという岡山県西部に伝わる妖怪のこと。
最初に脚本を読んだときのことを、高橋は「非常に情緒的と言いますか、風景だったり、セリフも少なく淡々と物語が進んでいくように見えるんです」とした上で、「現場に入ってみて、ロケ地で撮影させていただくと、台本だったり、現場の世界観だったりを吸収して、さらに(物語が)膨らんでいくような台本なんだな、ということは感じていました」と明かした。
一方、高橋を主演にオファーした経緯を聞かれ、渡辺監督は「この企画を進めていたときに、一生さんがNHKの番組(『土曜スタジオパーク』2021年)にゲストで出られていて、テレビで見ていたんです。番組の最後に『すねこすりが好きです』って言って終わって」と述懐し、「脚本を書いているときはそのことを忘れていたんですけど、『すねこすり』ってどこかで聞いたことあるなと。脚本が終わった後にスタッフで話していたとき、『あのとき一生さんが言ってたのはすねこすりだ』と一致して。(特殊メークで扮する)老人を一生さんにやっていただいたら深みのある話になるんじゃないかと」と、運命的なエピソードを披露。
■高橋、憧れの人との対面で妖怪談義に花「熱くなってしまって」
もちろん高橋も自分の発言を覚えていたそうで、すねこすりにご執心だった理由を「通行人の邪魔をして人を転ばせる存在って、どういう存在意義なのかがちょっと謎だったんです。そこには何か理由があるのか、そういうことを想像するだけの余白がある妖怪」と話し、「“あかなめ”だと垢をなめるだろうという話ですよね? そうなると、すねこすりはなぜすねなのか、なぜこするのか? 僕の脳みそはいつもそういうところに引っかかるもんで、気になってしまってしょうがなかった。子どもの頃からずっと(疑問が)ありました」と、幼少期から気になっていたことを説明した。
その流れで、高橋は以前出演した番組で愛読書として紹介した、“湯本鈍器”とも呼ばれる「怪異妖怪記事資料集成」シリーズで知られる、妖怪研究家・湯本豪一氏が今回劇場に来てくれたことを明かし、「(湯本氏が)『お会いしたい、お話したい』とおっしゃってくださって。これまでの人生で5本の指に入るぐらい緊張しまして…。普段あんまり緊張しないんですけど」と、憧れの人との初対面に珍しく緊張したことを告白。
続けて「20年も集成にかけられて、怪異を追ってらっしゃる湯本さん。いずれ弟子入りしたいと思っていた湯本さんにお会いできるなんて思っていなかったので……興奮して何の話だか分からなくなっちゃいましたね」と吐露すると、渡辺監督は「さっき舞台袖でお話されていたんですけど、湯本先生と一生さんで妖怪の話をず~っとされていて、入る余地がないくらい」と証言。
すると高橋は「ごめんなさい。熱くなってしまって、どうにか番組ができないかと思っておりました」と反省しつつ、妖怪への尽きない探究心をのぞかせていた。
◆取材・文=月島勝利(STABLENT)

