4月12日(日)、牝馬クラシックの第一弾である桜花賞(GⅠ、阪神・芝1600m)が開催される。金曜日に若干の雨が降ったが、土曜と日曜の天気予報は晴れ。両日とも最高気温は21℃の予想となっており、馬場はパンパンの良で行なわれそうだ。
阪神のコース設定は、先週までのAコースから、外へ3m移動したBコース。ゆえにラチ沿いは先週と比べて状態が良くなるため、その部分を通れた馬、つまり逃げ馬、内よりの枠からスタートした先行馬には有利なトラックバイアスが生じるものとみられる。
では逃げ・先行脚質、つまり前へ行く馬から狙えばOKかと言われれば、それほど単純ではない。まず逃げるのはロンギングセリーヌ(牝3歳/美浦・竹内正洋厩舎)で決まりだろうが、その他に逃げたことがある馬にディアダイヤモンド(牝3歳/美浦・手塚貴久厩舎)やリリージョワ(牝3歳/栗東・武幸四郎)がおり、先行する馬にもナムラコスモス(牝3歳/栗東・大橋勇樹厩舎)やルールザウェイヴ(牝3歳/美浦・宮田敬介厩舎)などがおり、これらの馬たちが先陣争いを繰り広げるうえ、中団以下から進む馬も最終コーナー手前から早めに仕掛ける傾向が強くなるであろうから、ペースはハイペースとなるのが必然。よって、本稿で主力を選択する際には、終いまでしっかり脚を使える差し・追い込み馬たちに重きを置きたいと考える。
混戦模様の今年だが、そのなかでも実績上位の馬が人気を集めることだろう。それは昨秋の阪神ジュベナイルフィリーズ(GⅠ)を制したスターアニス(牝3歳/栗東・高野友和厩舎)、クイーンカップ(GⅢ)を圧勝したドリームコア(牝3歳/美浦・萩原清厩舎)、阪神ジュベナイルフィリーズを1番人気で臨んだ(5着)アランカール(牝3歳/栗東・斉藤崇史厩舎)が“三強”を形成するはずだ。
本稿が本命に推したいのは、近2走を勝ち星から遠ざかっているアランカールである。
アランカールは父がエピファネイア、母のシンハイライト(父ディープインパクト)は桜花賞が僅差の2着、オークスに優勝したクラシックホースという良血馬だ。昨年7月のデビュー戦(福島・芝1800m)、1戦目の野路菊賞(1勝クラス、阪神・芝1600m)を上り最速を叩き出しながら後続に4馬身、3馬身半の差を付けて圧勝。この走りぶりの良さが高く評価され、阪神ジュベナイルフィリーズでは単勝オッズ2.6倍の1番人気に推されたが、最後方から強引にまくって出て、最終コーナーでは大外を回るというロスの大きい競馬の影響もあって前を捉え切れず、勝ち馬から0秒6差の5着に敗れた。この敗戦を受けて、陣営は鞍上を武豊騎手にスイッチし、新コンビでチューリップ賞(GⅡ、阪神・芝1600m)でも後方11番手から進んだ彼女は直線で大外へ持ち出され、上り最速の33秒0の末脚を繰り出して勝ち馬と0秒1差の3着に入った。
アランカールにとって阪神ジュベナイルフィリーズはいかにも拙い騎乗だったが、鞍上を交替したチューリップ賞の3着をどう見るのかは重要な点だ。筆者はこの一戦を「脚を測ったレース」だと見ている。大一番に乗り替わりで有力馬に騎乗することが少なくない武豊騎手は、この「脚を測るレース」をしばしば見せる。つまり、馬の走りを最初から型に嵌めるような乗り方をせず、最低限のコントロールをしつつ、できるだけ自然に走らせて、騎乗馬がどのぐらいのスピードを持っているのか、末脚はどれほど切れるのかを「測る」のである。その乗り方がチューリップ賞でのアランカールに対してのものに他ならないと筆者の目には映った。
いちど手綱をとり、新コンビの能力を見極めた名人・武豊騎手の本番は怖い。世代屈指の末脚を持つアランカールをして外から追い込むのか、馬群から抜かせてくるのか、いずれにせよ武騎手の円熟の手綱さばきが炸裂し、良血牝馬が突き抜けてくるシーンが目に浮かぶ。
対抗には、“三強”の他の2頭を差し置いて、リステッドのエルフィンステークス(京都・芝1600m)を最速の上りで制したスウィートハピネス(牝3歳/栗東・北出成人厩舎)を取り上げたい。
阪神ジュベナイルフィリーズは4着に敗れているが、これは直線で前が壁になってなかなか追えず、まともに追えたのは最後の150mほど。それだけで僅差(0秒3)までスターアニスを追い込んだ末脚は一級品。勝ったエルフィンステークスでも、最速の上り(34秒1)を繰り出しての快勝で、上り時計の2番手に1秒0もの差を付けてのものだった。馬群を厭わないタイプなので、道中は臨機応変に対処できるのもメリットだろう。
このあとの3番手には実績馬、スターアニスとドリームコアの2頭を並びで評価。前者は中団の好位から繰り出す安定感ある末脚がストロングポイントで、後者はクイーンカップで1分32秒6という速い決着に対応できており、その絶対的スピードの速さが魅力だ。
その他に挙げておきたい“ヒモ穴”は5頭。阪神ジュベナイルフィリーズで最速の末脚を使って2着まで追い込んだギャラボーグ(牝3歳/栗東・杉山晴紀厩舎)。1600mの経験を持ち、フィリーズレビュー(GⅡ、阪神・芝1400m)で鋭い差し切り勝ちを収めたサンアントワーヌ(牝3歳/美浦・鹿戸雄一厩舎)。ミュージアムマイルの半妹という良血で、骨折明けながら素晴らしい動きを見せている、ファンタジーステークス(GⅢ、京都・芝1400m)の勝ち馬フェスティバルヒル(牝3歳/栗東・四位洋文厩舎)。出走馬中ただ1頭の無敗馬(3戦3勝)で、先行力に底知れぬポテンシャルを感じさせるリリージョワ(牝3歳/栗東・武幸四郎厩舎)。ここまでをマークしておきたい。
なお、フェアリーステークス(GⅢ、中山・芝1600m)を勝ったブラックチャリス(牝3歳/栗東・武幸四郎厩舎)、リステッドのアネモネステークス(中山・芝1600m)を勝って優先出走権を得たディアダイヤモンド(牝3歳/美浦・手塚貴久厩舎)の2頭は、当該レースのレベルに疑問が付くため、今回はピックアップするのを見送った。
<了>
文●三好達彦
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