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【プロの観戦眼43】パワー化が進む現代テニスにおいて、時間を操って相手を揺さぶるムゼッティに注目!~宮崎靖雄<SMASH>

【プロの観戦眼43】パワー化が進む現代テニスにおいて、時間を操って相手を揺さぶるムゼッティに注目!~宮崎靖雄<SMASH>

このシリーズでは、多くのテニスの試合を見ているプロや解説者に、「この選手のここがスゴイ!」という着眼点を教えてもらう。試合観戦をより楽しむためのヒントにしてほしい。

 第43回は、日本ランク最高17位で、引退後は国内トップの学生やジュニアを多く育てている宮崎靖雄氏に話を聞いた。宮崎氏が今回推すのは、イタリアの24歳、ロレンツォ・ムゼッティだ。

 宮崎氏は、現代テニスでは鍵となる要素が4つあるという。【1】立体的な展開、【2】タイミングの変化、【3】積極的なスライス、【4】これらのボールのトランジット(乗り換え)だ。そしてそれを網羅している選手としてムゼッティの名を挙げる。1つずつ見ていこう。

【1】は「コースやスピードだけでなく“高さ”も使って組み立てられること」と宮崎氏。高く跳ねるスピンで相手を下げたり、力の入りにくい打点で打たせる能力だ。

【2】は色んなリズムで打てるかどうか。「前で早いタイミングで捉えたり、下がってしっかり打っていく」といった使い分けが問われる。

【3】は「逃げのスライスではなく、相手に低い所で処理させたり、わざと浅く送って揺さぶるなど、戦略的にスライスを使えること」。宮崎氏は「皆ドロップショットは打ちますが、スライスを戦略的に操れる選手は少ない」と指摘する。
  この3つの要素のチェンジを素早くできるのが、【4】のトランジット能力だ。「現代では2~3球同じボールを続けてしまうと、相手に主導権を握られます。ムゼッティは3つの要素を満たした上で、この乗り換えが実に早い。ポジションを見ても、ベースラインの2~3メートル後ろからライン内まで瞬時にトランジットできるので、相手はリズムが狂うわけです」

 ムゼッティがトランジットに優れる理由として、片手バックであることも関係しているそうだ。

「彼はバックが片手なので、スピン、スライス、ドロップと自在に使い分けられます。相手は次に何を打ってくるか読めません」

 現代のトップ選手はシナーやアルカラスを筆頭に、パワー化、スピード化がどんどん進んでいる。その中にあって「時間を操って相手を揺さぶるのがムゼッティです。現代ではなかなか見られない彼のテニスを、ぜひ楽しんでほしい」と宮崎氏は観戦を勧めてくれた。

◆Lorenzo Musetti/ロレンツォ・ムゼッティ(イタリア)
2002年3月3日生まれ。185cm、78kg、右利き、片手BH。4歳からテニスを始める。19年全豪ジュニアを制し、世界Jr.ランク1位を経験してプロ転向。イマジネーション豊かなテニスを武器に24年ウインブルドンと25年全仏でベスト4入り。トップ10の壁を破り、今年の初めには自己最高の5位までランクを上げている。ツアー通算2勝。

取材・文●渡辺隆康(スマッシュ編集部)
※『スマッシュ』2026年2月号を再編集

【連続写真】ラリーの中で意図的にペースを変えるムゼッティのバックハンドスライス「30コマの超分解写真」

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配信元: THE DIGEST

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