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朝ドラではムリな症状? 『JIN』とはだいぶ違った『風、薫る』コレラ描写の「本当の意図」とは

朝ドラではムリな症状? 『JIN』とはだいぶ違った『風、薫る』コレラ描写の「本当の意図」とは


見上愛さん(2024年5月、時事通信フォト)

【画像】え、「たしかに整ってる」 コチラが「地元で評判の美人」だったといわれる『風、薫る』りんのモデル人物です

『風、薫る』と他のドラマの「コレラ描写」を比較してみると

 NHK連続テレビ小説『風、薫る』の第1週では、コレラ(コロリ)が猛威を振るい、主人公「一ノ瀬りん(演:見上愛)」の父「信右衛門(演:北村一輝)」が命を落としてしまいました。

 コレラは、コレラ菌によって引き起こされる病気で、激しい下痢と嘔吐が起こって脱水症状になり、治療を行わないと死に至ることがあります。日本では江戸時代末期から明治・大正時代にかけて、何度も大規模な流行が発生していました。

 ところで、『風、薫る』でのコレラの描写には、少し不思議なところがありました。伝染病であることは分かるものの、どんな症状の病気か詳しく描かれていなかったのです。コレラが終息していく場面も描かれませんでした。

 同じくコレラを扱ったドラマ『JIN -仁-』(2009年)を思い出した視聴者も多かったかもしれません。同作には、主人公の「南方仁(演:大沢たかお)」と親しい少年「喜市(演:伊澤柾樹)」が嘔吐する場面のほか、「勝海舟(演:小日向文世)」を襲撃した刺客が下痢を起こす場面などがありました。直接的な描写こそ避けられていたものの、コレラの症状は明確に描かれています。

 Netflixのドラマ『イクサガミ』(2025年)にも、コレラが登場しました。主人公「嵯峨愁二郎(演:岡田准一)」は娘「りん(演:寺田藍月)」をコレラで亡くし、妻「志乃(演:吉岡里帆)」もかかります。娘が火葬されている前で、志乃が嘔吐する場面もありました。

 夜に放送されるドラマや配信のみのドラマと異なり、朝ドラで嘔吐や下痢が描かれないのは当然でしょう。多くの世帯では朝食と同じタイミングで見る朝ドラで、そういった場面は避けるべきだと制作側が考えるのも不思議ではありません。

 また、『風、薫る』のコレラの場面を見て、既視感を覚える視聴者も多かったのではないでしょうか。数年前にパンデミックを起こした、新型コロナウイルスと共通する描写がいくつもあったからです。

 たとえば、コレラ患者を出した家族が「本当に申し訳ねえことで。すんません、すんません」と謝り、りんが「どうして謝るの?」とつぶやく場面があります。コロナ禍でも、何も悪くないにもかかわらず、コロナにかかった人や家族が謝罪することが何度もありました。

 コレラ患者を収容する「避病院」の場所をりんに尋ねられた男性が、腕で口をふさぐ仕草をしますが、これもコロナ禍で推奨されていたポーズです。上京していた母「美津(演:水野美紀)」と妹「安(演:早坂美海)」が村に戻ることを拒まれる場面もありますが、コロナ禍でも県境をまたぐ移動が強く批判されていました。多くの人があやふやな知識で噂を言い立てる場面も、コロナ禍と共通しています。

 それもそのはず、『風、薫る』の松園武大チーフプロデューサーが本作の構想を思いついたきっかけが、コロナ禍だったのです。NHKの公式サイトには、次のように記されています。

「まだ何者かも分からないウイルスが猛威をふるう中、徹底的に患者に寄り添い、励まし、“コロナ”と戦う看護師たちの姿に勇気づけられたことを克明に覚えています。そんなことから看護の歴史に興味をもち、『疫病の時代』とも呼ばれる明治の二人のナースのパイオニアに感銘を受けたことが、この企画の始まりでした」

 りんのモチーフである大関和(おおぜき・ちか)は、日本初のトレインドナース(訓練を受けた看護婦)として働きはじめた後、防疫活動で大きな成果を挙げています。和はコレラや赤痢などの感染症が猛威をふるうなか、排泄物の正しい処理、丁寧な清掃と換気、患者の身体や衣服を清潔にすることを徹底して、死者数を激減させました。「避病院」の大幅な改良も務めています。

 コロナ禍では、大勢の医療従事者が現場で懸命に働き続けました。彼らのパイオニアのひとりが大関和なのです。『風、薫る』でも、今後トレインドナースになったりんたちが、コレラをはじめとする感染病と戦う場面が描かれるでしょう。コロナ禍を思い出しながら、彼女たちの活躍を見届けたいと思います。

配信元: マグミクス

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