噛み切れなかった肉
「今日もたくさん作ったから、遠慮しないでね」。義母はにこにこしながら、大皿に盛った生姜焼きをテーブルに並べました。いつも私のお皿には特に多く盛り付けてくれます。夫は「母さんの生姜焼きは最高だな」と笑っていました。
ひと口食べて、奥歯に違和感がありました。肉の繊維がぼそぼそとしていて、噛んでも噛んでもうまくほぐれない。たれの味が濃いのは、この食感を隠すためなのだろうかと、ふと思いました。でも夫は気にする様子もなく食べています。私の気にしすぎだろうか。そう自分に言い聞かせて、飲み込みました。
繰り返される胃の不調
義実家で食事をした翌日、お腹を下すことが増えました。最初は偶然だと思っていました。でも半年ほど前から、義実家の夕食のあとだけ決まって胃がもたれ、翌朝まで気持ち悪さが残るのです。夫には何の症状もありません。
ある日、義母がキッチンに立っているとき、ちらりとまな板の上が見えました。パックから出されたばかりの豚肉の表面が、わずかに変色している気がしたのです。それが引っかかって、思い切って聞きました。「お義母さん、このお肉、いつ買ったものですか?」。義母は一瞬だけ手を止めて、すぐに笑顔で「昨日よ」と答えました。
