タイでは誰もが知る怪談「メー・ナーク・プラカノーン」から着想を得た本作。舞台は粉じん公害が深刻化するバンコク。最愛の妻ナット(ダビカ・ホーン)を呼吸器疾患で亡くしたマーチ(ウィサルット・ヒンマラット)は悲嘆に暮れる日々を送っていた。ある日、ナットの魂は掃除機に宿るかたちで舞い戻るのだが、その頃マーチの家族が経営する工場では死亡した従業員の霊が機械に取り憑いており…。
このたび解禁された特報映像には、最愛の人を失い魂の抜けたようなマーチと掃除機の姿を借りて夫に寄り添うナットが愛を確かめ合う様子と、その異様な光景を見守る家族の姿が映しだされている。また、ティザービジュアルには薄暗い部屋の片隅でランプを点しながら佇む掃除機のカットが、場面写真にはマーチが掃除機になった妻と再会するシーンなどが切り取られている。

奇想天外な設定を起点にしながら、記憶と忘却、個人と社会、愛と有用性といったテーマや現代社会の歪みへの問題提起を扱い、コメディからロマンス、ホラーなどあらゆるジャンルを軽やかに横断していく本作。これが長編監督デビュー作となった1987年生まれの新鋭ラッチャプーム・ブンバンチャーチョーク監督が切り拓くタイ映画新時代の幕開けを、是非ともスクリーンで目撃あれ。
文/久保田 和馬
