期待と不安が入り混じる4月、新生活の準備に追われる若者たちの隙を突き、卑劣極まる「デジタル詐欺」が横行している。
ターゲットは通学・通勤の必需品である「定期券」。SNS上で見かける「余った定期券を格安で譲ります」「学生限定キャッシュバックキャンペーン」といった怪しげな広告がそれだ。甘い言葉で誘い、世間知らずの新入生や新社会人が次々と毒牙にかかっている。
サイバー犯罪に詳しいジャーナリストが警告する。
「定期券というエサをブラ下げた、巧妙な『個人情報収集』であるケース多いですね。手続きと称して学生証や免許証の写真をアップロードさせる。これを送ったら最後、その情報は即座に闇名簿へと書き込まれ、特殊詐欺グループに高値で転売される。新年度早々、自分の名前や住所が犯罪者が群がるリストに載ってしまうわけです」
その被害は名簿の流出だけにとどまらない。実際に現金を振り込んだ後に送られてくるのは、本物に見えるが中身のない「偽造定期券」だ。ジャーナリストが続ける。
「当然、何も知らずに使おうとすれば、駅員から『不正乗車』として問い詰められるでしょう。鉄道会社の規定により、悪質な場合は正規の3倍もの増運賃を請求される。安く済ませようとした結果、数万円の負債を抱え、さらに犯罪者のような扱いを受けるという、地獄の結末が待っているのです」
そもそも第三者への譲渡・売買は厳禁なのに…
狙われやすいのは、やはり地方から上京してきたばかりの「純朴な層」だという。都会の鉄道料金の高さに驚き、少しでも節約したいという心理が、詐欺師たちには絶好の食い物に見えるのである。
「新年度の浮き足立った雰囲気の中では、冷静な判断力が失われがち。そもそも定期券は記名者本人しか使えず、第三者への譲渡や売買は厳禁です。SNSで見ず知らずの人間から購入すること自体、犯罪に加担しているのと同じだという認識を持つべきでしょう」(鉄道ライター)
新生活というバラ色の夢が、スマホの画面越しに一瞬で悪夢へと変わる。見知らぬ「親切な誰か」が差し出す定期券。それを掴もうとした手には、取り返しのつかない「後悔」の烙印が刻まれることになることを覚えておこう。
(滝川与一)

