
「鹿島アントラーズがどういうチームか表現したかった」思い入れのある等々力で鬼木達監督が示したさすがの“勝負力”
[J1百年構想リーグEAST第10節]川崎 0-2 鹿島/4月12日/Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu
優勝戦線生き残りへ川崎としては絶対に負けられない一戦。しかし、そこに立ちはだかったのは、かつての“師”が率いる首位の鹿島であった。
前半はトップ下の脇坂泰斗、ボランチの山本悠樹、橘田健人がボールを自在に前へ運び、川崎が優位に試合を進めていく。しかし、川崎の長谷部茂利監督が「決定力の差」と嘆いたように、チャンスを仕留めきれなかった川崎に対し、鹿島は相手のミスをしっかり突きながら後半に2ゴールを決めて勝ち切った。
鬼木監督は振り返る。
「苦しい時間もありましたが、最後の最後まで身体を張ったり、気持ちの部分、一番そこを求めて挑んだので、全選手そこに向けてよくやってくれました。特に前半、ゼロで帰ってきたことが、勝負を決めたかなと言っても過言ではないくらい、後半には自信があったので、そこを出してくれたかなと思います」
まさに勝負師のコメントである。本来は相手陣内で主導権を握るサッカーを展開したいとの本音を持つ。「そこは自分の指導力不足」だと。
それでも、前半を凌げば後半にチャンスがあると、勝利への道を描いていた“勝負勘”はさすがと言える。指揮官はこうも語った。
「相手陣でやりながらの試合巧者になりたいですが、自分たちの理想ができなくても、試合巧者になることを求めており、やってくれたのかなと思います」
悪いながらも要所を締めて勝ち切る。まさに鹿島らしさ満点の試合運び。鬼木監督自身は、川崎時代にはすべてを懸けてきた“等々力”はやはり特別な場所でもあったという。
「いろんな個人的な想いもありますが、前節の水戸戦はPKでもありますが、その敗戦から考えれば、そんなこと言っていられないと言いますか。
むしろこのスタジアムで自分が鹿島アントラーズがどういうチームか表現したかった。それを見せたい想いもありました。そして首位で独走していくような気持ちで、この折り返しがまたひとつ重要だという話をしたなかで選手はよくやってくれたと思います」
会見では大怪我から復帰した教え子や、この試合には絡めなかった選手らにも想いを馳せた。“人間力”にも溢れている。“オニさん”と誰からも慕われる所以である。
「(選手の復帰は)すごくもう、率直に嬉しいというのが感想ですね。何が嬉しいかと言ったら、やはりサッカーを楽しむ姿が良いですし、また復帰したあとにそれぞれ苦しんでいるところもあると思います。(関川)郁万にしても(安西)幸輝にしても、自分の思ったような身体ではなかったりとか、プレーではなかったりとか。昨年、モロ(師岡柊生)もそうですが、優勝は喜び合いましたが、自分たちがどれだけ貢献したのかというところの歯がゆさとか、我々はそんなふうに思っていませんが、自分も選手だったので、出られない期間が長いとそういう思いもあると思います。
でも、本当にここからかなと思います。全員がすごく競争の中で戦っているので、違う話になってしまいますが、今日、前節から外れたメンバー、スタートだった選手たちも何人か外れていますが、残り組のほうで非常に全員がいい集中したトレーニングをしていたという話も聞いています。それぞれがいろんな立場で戦わなければいけませんが、どんな立場でもやるべきことをやっていくというのが、今すごくいいチーム状況だと思います。彼らの復帰は競争という意味でも非常に嬉しいですし、頑張ってサポートしていきたいと思っています」
理想にはまだ遠い。それでも、改めて鬼木監督ここにありと感じさせるゲームであった。
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
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