
【下平隆宏の「ビルドアップ論」】戦術以上に強いチームに例外なく存在する明確な基準とは?
名ボランチとして長く活躍し、監督としては柏、横浜FC、大分、長崎を率い、先日には大分市に拠点を置くJFLのジェイリースFCのクラブアドバイザーにも就任した下平隆宏氏の新コラムがスタート。
初回はイントロダクションとして、自身が大事にする考えで、コラムのタイトル名にもした“ビルドアップ”について語ってもらいつつ、今後も“戦術的なビルドアップ”“身体のビルドアップ”そして現在拠点にする九州のサッカー事情などを、独自の目線で紹介してもらう。
――◆――◆――
ビルドアップという言葉は、サッカーでは後方からの組み立てを指すことが多い。しかし、私の中でのビルドアップはそれだけではない。
チームの基準づくり、日々の積み重ね、そして身体づくり。すべては“積み上げ”であり、それこそが本質的なビルドアップだと考えている。
チームを作るうえで、最も重要になるのは基準づくりだ。強いチームには例外なく、明確な基準が存在する。それはチーム規律であり、プレー原則であり、日常の在り方そのものでもある。
では、その基準をどう築いていくのか。私が重要だと考える要素は三つある。
一つ目は、目標の明確化だ。どこを目指すのか、そのために何をするのか。ここが曖昧なチームは、日々のトレーニングの強度が下がっていく。逆に、全員が同じ方向を向けているチームは、ブレずに前に進むことができる。
二つ目は、日常における“100パーセント”の基準だ。コンディションやメンタルによって、常に100パーセントを出し続けることは簡単ではない。それでも、その基準を下げずに求め続けられるかどうか。この日々の積み重ねの差が、最終的に試合の差として現われる。
そして三つ目め、選手同士の関係性である。特に重要なのは、100パーセントで取り組めていない選手に対して、選手同士が本音で向き合えるかどうかだ。「もっとやろう」と言えるか。言いにくいことから逃げないか。その空気がチームにあるかどうかで、組織の強度は大きく変わる。
戦術はもちろん重要だ。しかし、これらの基準が備わっていないチームに、戦術だけを落とし込んでも機能しない。どれだけ能力の高い選手が揃っていても、チームとしては成立しない。
勝てるチームは、特別なことをしているわけではない。当たり前のことを、当たり前にやり続けているだけだ。
だが、その“当たり前”を徹底することが、最も難しい。そして、その積み上げこそが、私の考えるビルドアップである。
【著者プロフィール】下平隆宏(しもたいら・たかひろ)/1971年12月18日生まれ、青森県出身。現役時代は柏などでJ1では234試合・3ゴール。引退後は柏のU-18の監督などを経て、柏、横浜FC、大分、長崎を指揮。現在は大分市に拠点を置くJFLのジェイリースFCのクラブアドバイザーを務め、九州を中心に活動。
【画像】小野伸二や中村憲剛らレジェンドたちが選定した「J歴代ベスト11」を一挙公開!
【画像】サポーターが創り出す圧巻の光景で選手を後押し!Jリーグコレオグラフィー特集!
【画像】ゲームを華やかに彩るJクラブ“チアリーダー”を一挙紹介!
