
進化の香りを強く放つ橘田健人。立ち位置、一歩先の世界...川崎らしいボランチへの挑戦
[J1百年構想リーグEAST第10節]川崎 0-2 鹿島/4月12日/Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu
逆転優勝へ首位の鹿島に勝たなければいけない一戦だっただけに、川崎にとって0-2という結果は非常に厳しいものとなった。
優勝の可能性は数字上では残るものの、限りなく厳しい状況で、その事実をチームとして重く受け止める必要がある。
一方で鹿島戦の前半は、久々と言えるような高い構成力、良いリズムの攻撃を示した点も見逃せないポイントだ。
「ボランチとトップ下の関係が配置、形を変えてもつながれているのは大きかったです。この前の浦和さんはCBが(トップ下の)僕をケアしてきましたが、鹿島さんは違うやり方で、ボランチが僕まで管理するのは難しかったはずです」
トップ下の脇坂泰斗が振り返ったように、4-4-2の鹿島は、4-2-3-1の川崎に対し、全体のラインをコンパクトにし、2トップが、川崎のCBを牽制しつつ、川崎のボランチへのパスコースを消すなどのやり方を取ったが、鹿島の2ボランチに対し、川崎の中盤のトライアングル(トップ下の脇坂、ボランチの山本悠樹、橘田健人)は数的有利を活かしながら、優位性を見せた。
チームとして決定力に難を残したのは大きな課題も、川崎の中盤のトライアングルは淀みのない動きを示し、互いの立ち位置を意識しながら、矢印は常に前に置き、川崎ならではの“味方と相手を見て”、後出しじゃんけんのように、ボールを前に運ぶ力がこの日の前半にはあったと言える。
元々、脇坂、山本はこの手の動きに長けていた。鹿島戦で何より光ったのはもうひとりのボランチ、最後のピースを埋めた橘田である。
これまではどちらかと言うと運動量や守備面が評価される存在であった。もっとも鹿島戦の数日前には興味深い話もしてくれたいた。
ここでそのすべてを明かすわけにはいかないが、今季、より意識しているのが「立ち位置や、自分が動けば、味方がどう動くのかという全体像」だという。
これまでも自らの課題は攻撃面と捉え、取り組んできたが、今季はより映像を見返し、「今はどこに立つべきだったのか、どうすれば前を向けたのか」と、さらなるサッカーの探求に挑んでおり、その面白さにのめり込んでいるという。
デベロップメントコーチとして今季からスタッフに入閣した中村憲剛とも、日々“ボランチ論”に花を咲かせ、アドバイスを受けているというのも興味深い。確かに練習場ではふたりで会話する姿も目にする印象だ。
もっとも橘田は「周りのボランチの選手と比べたら僕はまだまだ。他の人たちはもっと他のことが見えているはず」と謙遜する。
鹿島戦後にも敗戦を大いに悔やんだ。ただ一方でこうも続けた。
「ボールをもらう前の準備はより意識していますし、少しずつ良くなっているとは思います。だからこそ上手く前を向けて、つながっている実感もあります。大事なのはこれをもっと続けて、数を増やしていくこと。駆け引きを続けていけば、チームとしてもゴールにつなげられると思います」
川崎のボランチと言えば、中村憲剛、大島僚太、田中碧ら、常に相手に捕まらないポジションを取り続け、技術力で相手のプレッシャーを剥がし、一歩先の未来を見ているかのようにチームをコントロールするタレントが多かった。
その意味で、橘田も見える世界が少しずつ変わっているという。脂が乗り始めた27歳。彼には彼のプレースタイルがあり、それもなくしてもらいたくないが、“真の川崎らしいボランチ”として開花すれば、チームをより高みに押し上げられるに違いない。中盤を仕切るほどの存在感を大いに期待したい。
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
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