2026年版外交青書で、中国に関する記述が2025年版の「最も重要な2国間関係の一つ」から「重要な隣国」へと表現が変化した。「最も重要な」という最上級の表現が削られたことは、現在の冷え切った日中関係を反映した「実質的な格下げ」と受け止められている。これを日中両国の記者会見で質問したのが、NHK記者だった。
佐藤啓官房副長官の記者会見でNHK記者は、
「『最も重要な2国間関係の一つ』という表現の記載を見送った意図を教えてください」
と質問。佐藤副長官の説明はこうだ。
「記載ぶりについて単純に比較することは、適当ではない。外交青書の具体的な記述ぶりは分量や読みやすさ、構成など編集上の観点を総合的に勘案したものだ」
中国外交部の定例記者会見でも毛寧報道官に対し、別のNHK記者が質問。
「中国に関する記述が去年と比較して、『最も重要な2国間関係の一つ』から『重要な隣国』に変化した。外交部はこの変化をどうみるか」
毛寧氏は待ってましたとばかりに、答えている。
「今の中日関係の根本的な原因は、高市首相が台湾をめぐり、誤った言論で信義に背き、中日関係の政治的基盤を損ない、戦後の国際秩序に挑戦したことにある」
相変わらずの高市早苗首相批判を展開したのである。
これに日本政府内からは、
「中国側の反応は予想されたこと。NHKはマッチポンプ役を演じている」
との批判が出ている。
NHKは日本政府の立場だけでなく、相手国の主張も報じようとする「中立性」の姿勢をとるが、領土問題などの国益が絡む場面では「敵国に加担した」と見えてしまうことがある。
中国語ニュースで起きた「大事件」を機に…
NHKはBS番組で中国の人権問題を取り上げることはあるが、2024年のNHKラジオ国際放送の中国語ニュースで、大問題が起きた。外部スタッフの中国人男性が、尖閣諸島(沖縄県石垣市)を「中国の領土」と口走る不適切発言をしたのだ。
この「事件」以降、NHK全体に「中国関連のニュースは極めて慎重に扱うべし」という強い緊張感が走った。外部スタッフの独走を防ぐため、事前チェックはさらに厳格化したが、より「無難な方向」に寄ってしまう傾向がある。
今回は毛寧発言をそのまま垂れ流したことで、
「朝日新聞の質問ならともかく、どこの国の公共放送なのか」(政府当局者)
との反発が広がっている。
(田中紘二/政治ジャーナリスト)

