長友佑都は日本代表に必要か。6月のサッカーW杯を前に、そんな議論が世論を賑わせている。しかもその「答え」は、70%以上が不要という結果に。
ではなぜ、長友は代表に復帰したのか。それは2024年のアジアカップ。それまで親善試合とはいえ、ドイツとトルコに勝って順調に成長してきた日本は、優勝候補筆頭に挙げられていた。
ところがロングボールに苦戦し、格下相手にはセットプレーから失点するなど思うような試合ができず、ベスト8で敗退。想定外の事態が起きると、立て直せない。メンタル的な弱さを暴露してしまった。
帰国後、森保一監督はコーチングスタッフとのミーティングで、経験が豊富でチームの盛り上げ役、アクシデントが起きても動じない精神力を持つ長友の代表復帰を決めたと言われる。
森保監督は長友の代表招集を、
「ひとりの選手として選んだ、という点をまず伝えたい」
あくまで戦力として選んだこと強調したが、こうも言った。
「ピッチ内外のところでも、どんな時でも反省を怠らず、常にポジティブに前向きに振る舞ってくれる点で、長友は突き抜けている。これからさらに厳しい戦いが待っている中で、彼がもたらしてくれるエネルギーに期待している」
森保監督の本音はコレだろう。
森保監督は北中米W杯アジア予選で26名の選手を招集することが多かったが、先発、ベンチ入りできる登録選手は23名。長友は常に、試合に出られないどころか、ベンチにも入れない3名の中で、スタンドから日本代表の試合を観戦してきた。
それでも全く腐ることなく、トレーニングでは先頭を走ってチームを鼓舞。長友が入ったことでチームは明るくなり、代表にとって大きなプラスになっていった。
右ハムストリングの肉離れが完治すれば確実に…
代表の盛り上げ役、チームのまとめ役としてだけでなく、経験もある。それは代表経験だけでなく、クラブチームとしてもイタリアのACチェゼーナ、名門インテル、さらにトルコの強豪ガラタサライ、フランスのオリンピック・マルセイユと渡り歩いた。そしてどのクラブでも、チームメイトやサポーターから愛されてきた。
その経験から、代表選手へのアドバイスもできる。監督やコーチよりも、現役である長友だからこそ、説得力のあるアドバイスができるというものだ。
長友が招集されてから、日本代表は無敗でW杯出場を決めた。では本大会に出場する26名のメンバーに、長友は選ばれるのか。
もし外れるのであれば、昨年9月のアメリカ遠征からではないか。アメリカ遠征からは、本大会に向けて新戦力の発掘を目指していた。つまり、そのタイミングで長友を代表から外すのが自然である。本大会出場を決めて「長友さん、ありがとう」というのであれば、わかりやすい。
それでも森保監督が長友を招集し続けたということは、本大会にも連れていくつもりでいるのではないか。
世論を気にしていては、日本代表の監督など務まるはずがない。長友は現在、右ハムストリングの肉離れで離脱中。完治しなければ、本大会のメンバーに選ばれることはない。だが完治すれば、森保監督は確実に選ぶはずだ。
正式発表は5月15日になる公算が大きい。はたしてどんな結論が出されるか。
(渡辺達也)
1957年生まれ。カテゴリーを問わず幅広く取材を行い、過去6回のワールドカップを取材。そのほか、ワールドカップ・アジア予選、アジアカップなど、数多くの大会を取材してきた。

