
現在のデジタル社会において、年齢を問わず誰もが接触しうる「詐欺」や「フェイクニュース」。近年はSNSを起点とした被害も増えており、「自分は大丈夫」と思っていた人が巻き込まれるケースも珍しくありません。
そうした課題を知識として学ぶだけではなく、実際の状況を想定しながら学ぶことができるゲーム型教育プログラム「リテプロ」が公開されました。
■ テーマ別にインターネット上の課題と向き合う
「リテプロ」はEdtechスタートアップである株式会社Classroom Adventureが、総務省とともに、ICTリテラシーの向上を目的として開発したもの。
扱うテーマは「偽・誤情報」「SNS型投資・ロマンス詐欺」「セクストーション」の3つ。それぞれ物語や状況設定の中で、利用者自身が判断を迫られながらリスクと向き合う構成となっています。
単に知識として「危ない」と理解するのではなく、「その場でどう判断するか」を体験できるのが特徴です。
次からコンテンツ別に内容を解説していきます。
■ 偽・誤情報がテーマの教材は 「倉土町に関する〇〇」
「偽・誤情報」で利用者が行うのは、実在のSNSを模したページ内の探索です。
台風被害が起きた倉土町という架空の街について、拡散されている偽・誤情報とそれに警鐘を鳴らしているアカウントを探し出していきます。
ページはかなり作り込まれており、インプレゾンビやまとめサイトで埋め尽くされたタイムラインは本物さながら。本物のSNSを操作する感覚で、真偽不明の情報等の向き合い方を“体験”することができます。
SNSで流れてくる情報の中には、一見もっともらしく見えても出典が曖昧なものや、意図的に誤解を招くように加工されたものも少なくありません。
もしもSNSで真偽不明の情報に出くわしたとき、どこで真偽を見極めればいいのか。そして誰が発信しているのか、情報の出どころはどこか。
SNS上で拡散されている情報について、出典や背景を確認する姿勢を身につけることの大切さを学ぶことができます。
■ SNS型投資・ロマンス詐欺がテーマの教材は「なりすましの恋に潜む罠」
「SNS型投資・ロマンス詐欺」は、SNSを通じて詐欺に巻き込まれてしまった祖母のスマートフォンを調べ、相手の不審な点や証拠を集めていくコンテンツです。
祖母に近づいているのは、俳優を装ったSNSアカウント。DMやチャットアプリを通じて徐々に信頼関係を築き、最終的には投資話へと誘導していきます。
利用者はスマホのアプリを行き来して詐欺の「証拠」になる要素を確認していくほか、ファクトチェックの仕方や対処法まで、一連の流れが体験できます。
またゲーム中では深く言及されませんが、相手側が「残り15分」と、非常に短い制限時間を示してくるのもリアル。実際の詐欺でも、こうした“考える時間を奪う演出”は頻繁に使われています。
冷静に考えれば不自然でも、「今決めなければならない」と焦らされることで判断力は大きく鈍るもの。そうした心理的な揺さぶりが、どのように行われるのかを体感できる点もリアルです。
おたくま経済新聞では詐欺アカウントへの潜入記事を通じて手口を伝えてきましたが、実際に自分で操作しながら確認することで見えてくる違和感はまた別物。“読む”のと“体験する”の違いを実感させられる内容といえるでしょう。
■ セクストーションをテーマにした教材は「Jane -ジェーン」
「セクストーション」は、SNSで知り合った海外の女性に性的な画像を送ってしまい、それをもとに脅迫されている友人を助けるのが目的のコンテンツです。
セクストーションとはセックス(性)とエクストーション(脅迫)を組み合わせた造語。裸の画像などを「人質」にして金銭を要求する手口です。
実際にこの手口は世界中で問題となっており、日本も例外ではありません。特に未成年がターゲットになる場合が多く、被害が深刻化しやすい傾向にあります。
このコンテンツでは、相手とのやり取りを精査しながらファクトチェックを行い、SNSを模した画面を探索するなどして、怪しげな要素を探し出していきます。
こうした被害の特徴として挙げられるのが、「相談しにくさ」です。性的要素が絡むことで周囲に打ち明けづらく、結果として一人で抱え込み、要求に応じてしまうケースも少なくありません。
しかし一度応じてしまえば、要求はエスカレートしていく可能性が高く、被害は拡大していきます。
本コンテンツには、「相談することは恥ずかしいことではない」というメッセージも込められており、周囲を頼る重要性に気づくきっかけにもなっています。
■ 「アテンション・エコノミー」「エコーチェンバー」などのシミュレーション教材も公開
このほかにも、「アテンション・エコノミー」や「エコーチェンバー」といった、SNSの特性そのものを理解するためのシミュレーション教材も用意されています。
刺激的な見出しや表現によって注意を引く「アテンション・エコノミー」では、なぜ自分がその情報に引きつけられるのか、といったことを理解するきっかけになる内容。
「収益化レベルによるWebページの表示の違い」「見出しで印象が変わるニュース」について、それぞれの違いを間違い探し的に確認できます。
「フィルターバブル」や「エコーチェンバー」は、最適化された情報環境の中で類似の情報ばかりが表示されるようになり、同じ考えを持つ人たちの間で意見が強化されていく仕組みを学ぶことができる教材。
たとえばSNSで「動物園」をめぐる議論が起こったときに、賛成派と反対派ではどれほど見える世界が違うのか。ボタンを押して切り替えることにより、擬似的に再現しています。
ゲーム型教育プログラム「リテプロ」とシミュレーション教材は、総務省のWebサイト「上手にネットと付き合おう!安心・安全なインターネット利用ガイド」内の特集ページにて公開中です。
日常的にSNSを利用している人ほど、“知っているつもり”になりがちなテーマでもあります。一度体験してみることで、自分の判断の癖や見落としに気づくきっかけになるかもしれません。
<参考・引用>
リテプロ
(ヨシクラミク)
Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By ヨシクラ ミク | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2026041401.html













