
兄・海舟とは一味違った「鉄人」に。NEC佐野航大は最適解を模索中「やるべきことはあります。やることだらけです」【現地発】
オランダリーグ1部で2位のフェイエノールトを勝点1差で追うNECは現地4月12日、直接対決を1-1の引き分けで終えた。
この日、攻守に幅広いプレーを披露したMF佐野航大は試合後、少し足を引きずっていた。
「マジで疲れました。相手も、俺らも最初からマンツーマンだった。ずっと追いかけている感じだったのでキツかったです」
NECのフォーメーションは3-4-2-1。しかし前半、上田綺世にゴールを許しビハインドを負ったNECは終盤、2-3-5のような配置で戦った。
そのため、セントラルMFとして先発した佐野は、最終ラインに降りて守備で奮闘。しかも2人のCBも頻繁に前線に上がっていくから、彼ひとりで守っているような時間帯もあった。それでいて佐野も機を見て攻撃に加わっていたのだから、足に疲労が溜まるはずだ。
リスクを負った反撃が功を奏し、NECは後半アディショナルタイム7分にCFダニーロが劇的な同点ゴールを決めて引き分けに持ち込んだ。3位のNECはまだまだ2位を狙える。
「(勝点1は)デカいですね。綺世君の“あのドグソ”(注:後半、上田の決定機をNECのCBがファールで止めたものの、イエローカード止まりだった)がなかったので、『俺らに(運が)転がっているな』と思った。ゲーム展開をこっちに持ってきて勝ちたかったです」
今季、デュエルに手応えを感じている佐野だが、フェイエノールト戦ではロングボールの応酬が多く、本人曰く、あまりボールの奪い合いに参戦できなかったという。さらに力強いポストプレーを披露する上田をマークするDF陣のフォローも佐野はしていた。
「綺世君がいるから、どうしても(陣形が)後ろ重心になる。そこでボールを収められると、自分も潰しに行かないといけない。そうなると自分は本来の場所にいないので、マークしている選手(フェイエノールトのMFウサマ・タルガリン)にセカンドボールを拾われることが多かった。だから俺からしたら、対戦相手として綺世君はマジで鬱陶しい存在でした(苦笑)。局面の駆け引き、読みなど、自分はまだまだ足りないです」
佐野は今季、オランダリーグでここまでの30試合、フル出場を続けている。フィールドプレーヤーでは佐野ひとりだけだ。
「『与えられた場所で100を尽くす』のが自分のモットーなので、フルならフルで100%やるだけです。交代したら何かしらの原因があって交代しているはずなので、そこはあまり考えていません。でもせっかくここまで来たら、全試合(フルで)出たいですね」
ファジアーノ岡山からNECに移籍して3年目。最初の半年はゲームに絡めなかったものの、後半戦から頭角を現した。2年目はレギュラーの座を確保したが、負傷もあって25試合の出場だった。つまり、皆勤ペースで試合をこなすのは佐野にとって初めてのことだ。
「メンタル的には全然疲れを感じませんが、今までシーズンを通して全部、戦い抜く経験がなかったので、身体はやっぱり(疲労が溜まっている)。これもサッカーキャリアの中でひとつの経験なのかなと思います。こういう時にどうケアをして、次の試合にちゃんと持ってくるかというのも、やらないといけないことですから。
(その最適解を)今は模索中です。若い(22歳)から走れるんですけれど、パフォーマンスを出せる身体なのかと言われたら、まだやるべきことはあります。やることだらけです」
与えられた場所で100を尽くす――。多機能プレーヤーとしてNECになくてはならない存在になった佐野は、その姿勢でチームの信頼を勝ち取り、デュエル王の兄・海舟とは一味違った「鉄人」になった。
リーグ戦は残り4試合。さらに19日にはKNVBカップ決勝、対AZ戦が控えている。リーグ戦2位、クラブ初のカップ戦優勝というゴールに向かい、佐野航大はシーズン大詰めを戦っている。
取材・文●中田 徹
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