
大家直美役の上坂樹里さん。2025年10月、シンガーソングライターのUruの楽曲「プラットフォーム」のミュージックビデオに出演した際の姿
【画像】え、「看護の道に進んだ時はもう28歳」「顔立ち違うけど美人」 コチラが『風、薫る』直美の”モチーフ”になった女性です
運命的な出会いをする軍人
2026年前期の連続テレビ小説『風、薫る』第3週13話では、主人公のひとり「大家直美(演:上坂樹里)」が、身分を偽って鹿鳴館の給仕として働き始めます。そして、彼女にある素敵な出会いがあるようです。
※この記事では『風、薫る』のネタバレにつながる情報に触れています。
直美が、陸軍卿の妻で「鹿鳴館の華」と呼ばれる貴婦人「大山捨松(演:多部未華子)」を騙してまで給仕になったのは、結婚相手を見つけるためでした。公式サイトの13話のあらすじを見ると、「鹿鳴館に海軍中尉の小日向がやってくる」と書かれています。
13話で初登場する小日向とは、公式サイトで「とある場所で直美と“運命的な”出会いをする青年。アメリカ帰りの海軍中尉」と紹介されている軍人「小日向栄介」です。連続テレビ小説初出演となる、藤原季節さんが同役を演じます。SNSでは、藤原さんの朝ドラ初登場を楽しみにしている声が多数ありました。
アメリカ帰りであれば、英語を話せる直美とも気が合いそうです。『風、薫る』はかなり展開が早いドラマなので、直美と栄介が恋仲になるのも近いかもしれません。ただ、「史実」を見ると、少し不穏な情報もありました。
『風、薫る』は歴史社会学者・田中ひかるさんによる小説『明治のナイチンゲール 大関和物語』を原案としており、日本初のトレインド・ナース(訓練された看護婦)として、医療の発展に貢献した実在の女性・大関和と鈴木雅を「モチーフ」にした物語です。直美は元となった鈴木雅とはだいぶ設定が違いますが、英語を話せる点や、軍人の男性との関係は共通しています。
雅は1858年に駿河国沼津(静岡県沼津市)の武家・加藤家に生まれ、1876年から77年に横浜のフェリス・セミナリー(現:フェリス女学院)で英語を学び、キリスト教徒になりました。そして、彼女は1878年に陸軍少佐の鈴木良光という男性のもとに嫁ぎます。
ただ、良光は1877年に起きた西南戦争最大の激戦・田原坂の戦い(熊本県)で、太ももに銃弾を受けて大けがを負っていました。雅は良光と一男一女をもうけるも、彼は1883年に戦争のけがが原因の病気でこの世を去ります。
原案『大関和物語』には、「一ノ瀬りん(演:見上愛)」のモチーフとなった大関和が、1887年に桜井女学校附属看護婦養成所の1期生同士として出会った雅から、夫の悲劇を聞く場面がありました。
雅は看護の道を志した理由について、「私は欧米のトレインド・ナースの存在を知っていたので、もし私に看護の技術があれば、夫は最後の時間をもっと安らかに過ごせたのではないかと悔やみました。それに、夫の恩給で生活は成り立ちますが、自立したいという気持ちもありました」と語っています。
『風、薫る』の栄介はまだ若い海軍中尉でアメリカ帰りという設定なので、おそらく西南戦争には参加しておらず、けがも負っていないでしょう。直美に関しても、モチーフという程度にしか雅と被っている部分がありませんが、同じように軍人と結ばれるなら、看護婦となる前後に似たような悲劇は起きるかもしれません。
時代を見ても、これから日清戦争(1894年)と日露戦争(1904年)があり、和も雅も看護婦としてこれらの戦争に関わっています。朝ドラで、主要キャラの夫や恋人が戦争で命を落とすのはよくある展開なので、栄介の今後が心配です。
※参考:『明治のナイチンゲール 大関和物語』(中央公論新社)、ムック『大関和 明治のナイチンゲールたち』(平凡社)
