「若い人の声をもっとまちづくりに活かしたい」
そんな言葉はよく聞くものの、実際にどこまで形になっているのかは、なかなか見えづらいものです。
そんな中、福岡県北九州市では、若者を“支援する対象”ではなく“パートナー”として捉え、一緒にまちをつくる取り組みが進められてきました。しかもそれを専門に担う部署まで立ち上げ、2年間にわたって実践してきたというから驚きです。
今回、その歩みや具体的なプロジェクトがひとつの形としてまとめられ、誰でも見られるようになりました。
若者のアイデアがどのように社会とつながり、実際の取り組みに広がっていくのか。そのプロセスを知ることで、「まちづくりって意外と身近かもしれない」と感じるきっかけになるかもしれません。
若者と一緒にまちをつくる 全国初の「Z世代課」とは

北九州市が立ち上げた「Z世代課」は、2024年4月に設置された全国初の部署です。名前の通り、いわゆるZ世代と呼ばれる若い世代にフォーカスし、その価値観や考え方をまちづくりに活かしていくことを目的としています。
これまで行政の取り組みというと、どうしても「市民の声を聞く」という形が中心でした。しかしZ世代課では、その一歩先をいき、若者を“対象”としてではなく、“一緒に考えるパートナー”として位置づけているのが大きな特徴です。
なぜそこまで若い世代に注目するのでしょうか。背景には、人口減少や産業構造の変化など、社会全体の大きな転換があります。これまでのやり方だけでは対応しきれない課題が増える中で、新しい価値観や柔軟な発想が求められる場面は確実に増えています。

その中で、これからの時代を生きていく若い世代の考え方を理解し、それをまちづくりに取り入れていくことは、単なる若者支援にとどまらず、地域そのものの未来を考える上でも重要な意味を持ちます。
Z世代課は、そうした変化を前向きに捉え、「若者から学ぶ」という姿勢を大切にしながら、スピード感のあるまちづくりを目指しています。行政と若者の関係性をアップデートする取り組みとして、全国的に見ても珍しい存在といえるでしょう。
アイデアが形になる 若者発のプロジェクトが動き出している

Z世代課の取り組みを特徴づけているのは、若者の声が“そのまま終わらない”点にあります。アイデアを聞いて終わりではなく、実際のプロジェクトとして形にしていくところまでつながっているのが大きなポイントです。

その代表的な取り組みのひとつが、「Z世代はみ出せコンテスト」です。名前の通り、既存の枠にとらわれない自由な発想を歓迎する企画で、若者たちが自分のアイデアを発信し、それを実現に近づける機会となっています。単なるコンテストではなく、“挑戦のきっかけ”として機能している点が印象的です。
また、実際に形になった事例として挙げられるのが、「KOKURA DANCE STATION」です。誰もが自由にダンスを楽しめる空間として整備され、若者の声をきっかけに生まれたプロジェクトの一例となっています。アイデアが具体的な場所や体験として広がっていく様子は、この取り組みの分かりやすい成果といえるでしょう。

こうしたプロジェクトは一部に過ぎず、ポータルサイトでは複数の取り組みが一覧で紹介されています。それぞれの内容を見ると、ジャンルやテーマはさまざまですが、共通しているのは「若者の発想を起点にしている」という点です。
アイデアがそのまま消えてしまうのではなく、誰かとつながり、実際のアクションへと発展していく。この流れがあることで、若者にとっても「関わる意味」が生まれ、取り組み自体の広がりにもつながっているように感じられます。
