新緑の光が溢れる赤坂御苑。4月17日、天皇・皇后両陛下主催の春の園遊会に出席した「りくりゅう」こと、フィギュアスケートの三浦璃来・木原龍一ペアは、そのわずか6時間前に突如として、SNSで現役引退を表明していた。
園遊会後、木原はこの日の引退表明について、
「陛下に自分たちの今後、考えていることをお伝えしたかった。今の気持ちを正直にお話しさせていただきたいな、という思いがあった」
これに三浦も追随して、
「私も全て木原選手と同じ意見です」
と晴れやかな表情で語ったが、通常ならアスリートの引退は、会見や連盟を通じて行われるものだ。
だが、彼らが選んだのは「SNSで世間に伝え、その足で陛下に報告する」という、前代未聞の幕引きだった。この完璧なステージ設定には皇室ジャーナリストが、
「これほど鮮やかで誠実なケジメのつけ方は見たことがない」
と舌を巻く。
振り返れば、木原のスケート人生は、波乱の連続だった。かつてのパートナーから「龍一、靴を履いてくれ(やる気を出せ)」と叱咤されたエピソードは語り草だ。
そんな「遅咲きの男」が、三浦という運命の伴侶を得て、33歳で世界の頂点へ。愛子さまや佳子さまも視線を送る中、淡いグレーの袴姿で悠然と歩く木原の背中には、全てを出し切った男の矜持が滲んでいた。
まるで熟年夫婦のような信頼感
そこで俄然、気になるのが、2人のこれからだ。引退コメントに添えられた「新しいことに2人で挑戦していく」という言葉は何を意味するのか。
三浦は以前から「木原選手が引退する時は、私も一緒に引退する」と公言しており、その絆はもはや、競技パートナーの枠を超えている。園遊会でも時おり顔を見合わせてはにこやかに笑い合うその空気感は、まるで熟年夫婦のような信頼感に満ちていた。
「今後はペアをもっともっと日本の皆さまに知っていただけるように、様々な活動に挑戦し、ゆくゆくは2人で指導者になれるよう、勉強させて頂きたい」
報道陣にそう語り、両陛下にも誓ったりくりゅうペアの「伝説第2章」から、目が離せないのである。
(灯倫太郎)

