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スターへの登竜門「オレンジボウル」14歳以下で優勝の岩佐綾香、海外転戦での“サバイバル”と成長の足跡<SMASH>

スターへの登竜門「オレンジボウル」14歳以下で優勝の岩佐綾香、海外転戦での“サバイバル”と成長の足跡<SMASH>

松岡修造氏や辻野隆三氏ら数々のトップ選手を輩出し、日本テニス界の一時代を築いた名門、桜田倶楽部——。

 歴史を感じさせるそのテニススクールのクラブハウスに、大きな銀杯がさりげなく飾ってある。

「優勝した時は、このカップに本物のオレンジがいっぱい入っていたんです!」

 陽光浴びるオレンジのような明るい笑顔で、カップの持ち主が無邪気に笑う。その銀杯の奥の棚には、男性の立ち姿を模したトロフィーも二つ並んでいた。

「これが一昨年で、こちらが去年末のトロフィー。違い、わかります?」

 一見すると同じに見える2つのトロフィーだが、よく見れば確かに違う。トロフィーの人物は、IMGテニスアカデミーの創設者であるニック・ボロテリー。彼がサングラスを掛けている方が、昨年のシングルス14歳以下の優勝の証。もう一つは一昨年、12歳以下のダブルスで手にしたものだ。IMGアカデミーで年末に行なわれる、ジュニアの登竜門大会「エディ・ハー・ジュニアテニス選手権」。その優勝トロフィーを、彼女は既に2つ持っている。

 そして銀の大きなカップは、同じくアメリカで開催される「オレンジボウル」14歳以下で、シングルスの頂点に立ちつかみ取った。本人いわく「これまでで、いちばんうれしい優勝」でもある。

 5歳の日から桜田倶楽部で腕を磨く岩佐綾香は、世界の大舞台で活躍する14歳だ。
  岩佐の主な戦績を並べると、全国小学生テニス選手権の優勝はあるものの、国内よりもむしろ、ヨーロッパやアメリカでのタイトル獲得が目立つ。それもそのはず。まだ14歳の若いテニスキャリアでありながら、彼女の海外転戦歴は長い。

「初めて海外に行ったのが、小学3年生の時。クロアチアなど、ヨーロッパを2カ月くらい転戦したんです」

 年長の友人たちが赴く欧州のジュニア大会遠征に、自ら志願して参戦。ボールが高く弾むレッドクレーコートでの試合は、小柄で、ゆえに走力と創意工夫で勝負する彼女にとって、「とても楽しい」テニス経験だった。9歳の誕生日を遠征先で迎え、ホストファミリーに祝ってもらえたことも、今思い出しても笑みが溢れるうれしい思い出だ。

 この初の遠征が一つの成功体験なら、異国の厳しさを知った経験もある。それは小学4年生の秋。アメリカのニュージャージ州で行なわれた、強化キャンプに単身参加した時だ。

「お父さんが現地まで連れてきてくれたんですが、キャンプが始まると帰ったのでそこからは私一人。日本人も私だけでした。色んな国の子たちと一緒にホームステイして、朝ご飯とお昼ご飯は、自分たちで作るという決まりだったんです」 その時の年長のルームメイトが、「ちょっと意地悪だったんですよー」と、彼女は小さく口をとがらせた。言葉もジェスチャーも通じないなか、それでも自己主張しなくては、満足に食事にすらありつけない。

「スマホのアプリで日本語を英語に訳し、音声再生で発音を聞いて、それを真似して伝えることを繰り返していました」

 ホームシックになりながらも、必死に「サバイバル」した2週間。

「あの2週間で英語もかなりできるようになったし、メンタルも強くなった。きつかったけれど、今考えればあれがあって良かったなって思います」

 異国の地に赴くことの、光と影——。その両面を彼女は10歳の時点で体感し、しなやかさと逞しさを小さな身体に備えた。

 高まった海外志向に順路が示されたのは、ニュージャージの体験から間もなくのことである。富士薬品が、世界を目指す11歳から14歳の少女たちを支援する『富士薬品セイムス ワールドチャレンジプログラム』の、サポートメンバーに選ばれたのだ。

 とはいえその道のりも、平坦ではなかった。

「サポート選手を決める選考大会の、決勝トーナメントの1回戦で負けちゃったんです」

 やや決まりが悪そうに、岩佐が打ち明ける。周囲から“優勝候補”と目される重圧と、自分への期待もあった。加えて、どうしても選ばれたいとの思いも強かったのだろう。だからこそ負けた時は、「終わった…」と深く落ち込んだという。
  ただサポートメンバーの選出は、大会の結果のみで決まるのではない。

「まだ選考候補に入っていると言われたので、練習や、その後の合宿で頑張りました」

 いかなる状況でも前を向き、今できることに全力を尽くす。そんな健気な姿は、選考者たちの目にも「次にトライし続ける子」として映ったという。

 かくして岩佐はサポート選手に選ばれ、海外で戦う機会は増えた。その遠征スケジュールも、いずれ世界で戦うための“順路”として、より体系的に組まれていく。

「富士薬品のサポートメンバーに入ってから、スケジュールなど、流れが大きく変わった」と岩佐は言う。その流れに乗り、彼女は急激に力をつけた。富士薬品サポートメンバーとしての初の海外遠征先は、フロリダ。エディ・ハー大会の12歳以下に予選から出場し、本戦への切符を勝ち取った。本戦では初戦で「ボコボコにやられた」が、それも含めて良い経験になったという。

 時を同じくして、身長も劇的に伸びた。「相手との駆け引きが好き」という戦略性を身体で表現できるようになったことも、結果を残せるようになった要因だ。 こうして岩佐は、世界中の同世代の選手たちと出会い、持ち前のコミュニケーション力で親交を深めてきた。

「大会のエントリーリストに、仲のいい子がいると会うのが楽しみで、早く遠征に行きたくなるんです!」

 そう笑うカラフルな感性も、テニスというグローバルな競技において、間違いなくアドバンテージだ。
 
 昨年12月のオレンジボウル優勝は、そんな彼女の歩みが至った一つの到達点だったといえる。

「決して調子が良かったわけではなくて。1回戦も、めっちゃ危なかった」
  それら窮地を切り抜けることで、徐々に調子を上げ、決勝戦に到達した。

 その頂上決戦で対戦したのは、ダブルスパートナーであり、「すごく仲の良い友だち」のイザベラ・ヤン。そして3年前のエディ・ハー大会1回戦で、岩佐が「ボコボコにやられた」相手である。その同世代のトップ選手と、岩佐は互角に戦うまでになった。決勝は一進一退の攻防の中から、「大切なポイントで、自分から攻めてポイントを取れた」と胸を張る。7-6、7-6のスコアは、彼女の成長の足跡そのものだ。

 今目指すのは、「自分の世代の中で、常にトップレベルで戦える場所にいる」こと。その道を進むにつれ、クラブハウスに飾られるトロフィーは、数も輝きも増していくはずだ。

取材・文●内田暁

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配信元: THE DIGEST

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