気づかないうちに、あなたのスマホに「新しい機能」が加わっている…かもしれない。「RCS(リッチ・コミュニケーション・サービス)」と呼ばれるそれは、2026年3月からソフトバンク・ワイモバイル・LINEMOが順次提供を開始した、SMSの進化版だ。
データ通信定額プランに加入していれば、追加料金なし。2月28日までの契約者は申込不要で利用できる案内が出ており、いつものメッセージアプリを開けば使える状態になっている。
これだけを聞けば、便利な話に思える。実際に機能は充実している。写真や動画を電話番号だけで送れて、グループチャットもできる。LINEのように「既読」がつき、長文も送れる。AndroidならGoogleメッセージアプリ、iPhoneなら標準のメッセージアプリがあれば対応できる。ただし、この便利さには、悪用される余地があるのだ。
従来のSMSでは、不審なメッセージは見た目がいかにも貧相だった。文字だけでURLが丸見えで、「これは怪しい」と気づいた。RCSはそこを変え、ロゴ画像、ボタン、色鮮やかなバナーを使ったメッセージが電話番号宛に届くようになる。
これが銀行や宅配会社を装った詐欺に使われれば、本物との区別がつきにくい。ただし、GoogleやGSMAはRCSに送信者認証・検証バッジ・スパム対策を組み込んでいる。「RCSになったから詐欺が急増する」と断言できるわけではなく、リッチな見た目の悪用余地はあるが、対策も並行して整備されている、というのが現状だ。
「この番号は生きている」確認で「標的リスト」に加わる
もうひとつ、見落とされがちなリスクがある。既読機能だ。メッセージを開くと、相手に通知が届く。これは裏を返せば「この番号は生きている」と知らせることになる。知らない番号からのメッセージを開いた瞬間、その電話番号が「使用中」であることが確認され、以降の標的リストに加わる可能性があるのだ。
「RCSを使うと月5000円、料金が上がる」という話がSNSで広まったが、これは正確ではない。RCS対応の相手との送受信は基本的に無料で、かかるのはデータ通信料のみ。ただし、相手がRCSに未対応の場合、自動的にSMSに切り替わって送信料が発生する。完全に無料とは言い切れない。
とはいえ、対策は難しくない。知らない番号からのメッセージは、まず開かない。既読通知はオフに設定しておく。リンクが含まれていたら、どれほど本物らしく見えても押さない。それだけでリスクの大半は避けられる。
便利な機能であることは間違いない。ただ「気づかないうちに使える状態になっていた」という点が、この話の核心だ。知らずに使い続けるのか、仕組みを理解した上で使うのか。それによって、同じ機能がまるで違う結果をもたらすことになるのだから…。
(ケン高田)

