ロシア政府系機関「全露世論調査センター」が4月4日から12日に実施した世論調査で、プーチン大統領の支持率が66.7%だったことが明らかになった。これでプーチン大統領の支持率低下は、3月初週から6週連続。8割超えが当たり前だった独裁者にとって、7割切りは実質的な危険信号だろう。ロシア情勢を観察するジャーナリストが語る。
「ロシア式数字の読み解き術によれば、当局がこの数字を公表したこと自体に裏があり、実際は5割を切っているのではないか、という疑惑があります。あえてこの数字を発表し、地方幹部に対して『このままでは9月の下院選、統一地方選は惨敗だぞ』と危機感を煽る。そんな官邸側の情報戦ではないか、との見方があります」
正確な数字はともあれ、支持率低下は事実であり、その最大要因は5年目に突入しているウクライナ戦争の疲れ以上に、3月からの「ネット規制」にあるとされる。
「3月以降、プーチンの大号令の下、モスクワ中心部ではモバイル通信が断続的に遮断され、世界屈指のデジタル都市が一夜にして麻痺しました。キャッシュレス決済が全滅したため、レジ前は大混乱。タクシーを呼べず、駐車場代も払えない。さらには空襲警報がスマホに届かず、市民が命の危険にさらされる可能性も。モスクワ市内は今、大混乱に陥っています」(前出・ジャーナリスト)
ポケベルと紙の地図を血眼になって買い求めるモスクワ市民
モスクワ市民はポケベルや紙の地図を血眼になって買い求め、オンライン小売大手では、ポケベルの売上が7割以上も急増。「スマホが使えないなら、太陽と星を見て歩け」という大学の呼びかけまで飛び出す始末で、文字通り、アナログ時代への強制送還に、市民の怒りは暴発寸前に達しているとされる。
加えて国民的アプリ「テレグラム」が制限されたことで、戦禍の中、政権の太鼓持ちをしていた「愛国派インフルエンサー」たちも激怒。
「戦況を勇ましく発信して稼いでいた彼らにとって、ネット遮断は死活問題。『お上は何を考えているんだ!』という身内からのブーイングが、支持率の土台をジワジワと削り取っています」(前出・ジャーナリスト)
ウクライナ侵攻開始直後は「お国のために」と国民が旗の下に集まる、いわゆる「旗下結集効果」が見られたが、それも今は昔。2026年にもなっても出口が見えない戦争、そして上がり続ける物価…。「愛国心では腹は膨らまない」現実に、もはや賞味期限切れとなったプーチンでは、どうにもならない様子だ。
国民がついに愛想を尽かす中、9月の選挙に向けて、モスクワの春は波乱の予感に満ちている。
(灯倫太郎)

