
全世界歴代興行収入ランキング9位にランクインするなど、大ヒットを記録した「ズートピア2」が、4月15日に配信された。前作に続き、主人公であるウサギの警察官ジュディ・ホップスの日本版声優を務めるのが上戸彩。9年ぶりのジュディ役でも正義感が強くてかわいいウサギを好演している彼女も、すでに芸歴四半世紀以上。その快活な笑顔は、いつでも同世代の憧れだ。
■ウサギの警察官をキュートに寄り過ぎない声色で表現
動物たちが人間のように暮らす夢の都市、誰もが何にでもなれる楽園“ズートピア”を舞台とした同作は、2016年に公開された長編アニメーション映画「ズートピア」の続編。今回もウサギのジュディとキツネのニック・ワイルドのコンビが動物たちのズートピアを駆け巡る。
今作は元詐欺師のニックが警察官になり、ジュディとバディを組んで捜査に奔走。ズートピアにいなかったはずのヘビや爬虫類にまつわる謎を追っていくうちに、この世界を揺るがす陰謀と戦うことになる。上戸のジュディの声は9年前よりちょっとクールになり、森川智之のニックとのリズミカルな掛け合いも健在だ。
ジュディはウサギであるだけに、大きな耳や目を生かしたアニメーションでの動きがかわいい。けれども捜査官としての責任感が強く、危険を顧みない。ゆえに度々暴走もしてしまう。前作「ズートピア」ではそんな個性を、キュートに寄り過ぎない声色で表現していた。
一度は誤解により別れてしまったニックに謝り、「私は本当にただの間抜けなウサギ」と涙ながらに真っすぐ気持ちを伝える芝居が特に心打たれる。この「間抜けなウサギ」のセリフは「2」でもニックと本心を通わせ合うシーンで登場し、上戸の優しい声が気丈なジュディの思いを伝えてくれている。
■“金八先生”の生徒役に不倫妻…振り幅広い演技
1997年に「第7回全日本国民的美少女コンテスト」で審査員特別賞を受賞し芸能界入りした上戸は、2000年に放送されたドラマ「涙をふいて」(フジテレビ系)で役者デビュー。最初に鮮烈な印象を与えたのが、2001年の「3年B組金八先生」(TBS系)第6シリーズでの性同一性障害の生徒・鶴本直としての感情むき出しの芝居だろう。これを機に注目の若手俳優になり、映画初主演作「あずみ」(2003年)では、過酷な宿命を背負った刺客・あずみを熱演。
「あずみ」では初めての殺陣に戸惑いながらも猛特訓を重ね、壮絶な「200人斬り」のシーンには筋肉注射をしてまで臨んだという。当時すでにCMにひっぱりだこの売れっ子だった彼女だが、こと俳優としては陰のあるキャラクターも全力でものにしていく。
彼女のキャリアの次なる転換点になったのが、2014年のドラマ「昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜」(フジテレビ系)だ。当時29歳の上戸は、不倫に溺れる“アラサー主婦”笹本紗和を演じた。すでに長寿CMになっていたソフトバンクの「白戸家」シリーズでは好感度たっぷりの長女・アヤを演じているのに、自身とほぼ同世代の、道を踏み外していく平凡な女性になりきったのには役者根性を見せつけられた。
「昼顔」はそれから3年後に映画化され、紗和の薄幸ぶりを通じて昭和以来の王道ジャンルたる不倫劇にもハマることを証明した。

■「半沢直樹」夫を明るく支える妻役で視聴者に共感
また、上戸の実力の幅広さを示すのがアクの強いキャラクターが勢ぞろいした日曜劇場「半沢直樹」(2013年ほか、TBS系)で見せた半沢直樹(堺雅人)の妻・花としての芝居だ。大ヒットしたこのドラマで、快活な花が登場する半沢家のシーンは、視聴者を和ませてくれた。
銀行員の世界をカリカチュアしているために、花たち行員の妻の「奥様会」も風刺的な芝居が続く。そうなると上戸が持っているアイドル的な愛嬌(あいきょう)が生きてきて、シリアスでないコメディータッチなシーンとして見ていられるのだ。
2013年の第1シリーズでは、半沢家に家宅捜索に来た金融庁職員にタンカを切ったりとアクティブな花だったが、7年後の第2シリーズでは包容力があるところも見せた。大和田暁(香川照之)との暗闘に敗れて憔悴した直樹を「生きていれば何とかなる」と励まし、視聴者の共感も呼び起こす。
この作品で上戸はあえて「自分の場面以外の台本は読んでいなかった」と各媒体のインタビューで語っている。夫が会社で戦っている姿を知らない花と同じ視点での芝居ゆえ、直樹を支える姿がよりリアルに、彼女の心からの表現として結実した。
10代から「金八先生」「半沢直樹」「ズートピア」と国民的な作品とともに成長し、私生活でも3児の母に。いつの時代も格好よく生きる姿に、私たちは元気をもらっている。
「ズートピア2」はディズニープラスで見放題独占配信中。
◆文=大宮高史

