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ジェームズ・ウォージー――何より勝利を優先した、究極のチームプレーヤー【レジェンド列伝・前編】<DUNKSHOOT>

ジェームズ・ウォージー――何より勝利を優先した、究極のチームプレーヤー【レジェンド列伝・前編】<DUNKSHOOT>

一部の人の眼には、ジェームズ・ウォージーのNBA人生は不幸に映るかもしれない。エースに成り得る才能を持ちながら、 カリーム・アブドゥル・ジャバー、 マジック・ジョンソンという両巨頭に挟まれ、キャリアの大半を “第3の男” として過ごすしかなかったからだ。 

 だが、 本人はこの考えを真っ向から否定する。得点を多く取ろうが、MVPに選ばれようが、それよりも優勝する方がよほど大事だと。チームプレーヤーでなければ語ることのできないこの台詞こそが、 彼の哲学を表わしている。

■大学へ進学するために選んだバスケットボール

「レブロン・ジェームズがこのままクリーブランド・キャバリアーズを去ったら、負け犬と呼ばれても仕方ないね。私にとっては、最終的目標(優勝)を達成しないままチームを出て行くなんて、思いもしないことだ」

 2010年夏、キャブズからFA(フリーエージェント)となったレブロンの去就が巷を賑わせていた頃、ウォージーはこんな発言をしていた。
  ショータイム時代のロサンゼルス・レイカーズで3度の優勝を経験し、プロ入り以前にもノースカロライナ大で全米制覇を達成。強豪ばかりでプレーしてきたウォージーに、レブロンが当時置かれていた境遇がわかるはずはない、との批判もあった。

 けれども、これは勝者とは何かを熟知している彼だからこそ、安易な方法でその地位にたどり着いてほしくないとの思いを込めた叱咤でもあったのだ。

 ウォージーはバスケットボールの盛んなノースカロライナ州に生まれた。当然、子どもの頃から大のバスケット好きだったかと思いきや「正直言ってバスケットは好きではなかった。それでもずっと続けていたのは、大学に行くために一番の近道だと思ったからさ」。

 父親は教会の牧師で、あまり給料が高くなかったために、子どもたちの学費を捻出するのに苦労していた。両親の負担を少しでも減らすために、ウォージーはバスケットボールの腕を磨いて、奨学金をもらおうとしたのだった。
  動機はともかく、彼に宿っていたバスケットの才能は本物だった。中学生の頃にはすでに身長2メートルを超え、それでいて敏捷性も瞬発力も抜群とあって、早くも多くの大学から注目を集めていた。高校最終学年ではオールアメリカン、カンファレンス最優秀選手などのタイトルを総なめにし、地元の名門ノースカロライナ大へ、目論見通りに奨学金つきで入学した。

■NCAA優勝を果たし、名門レイカーズへ入団

 ヘッドコーチのディーン・スミスが「入学してすぐ、こいつは間違いなくプロになる素材だと感じた」と見込んだ通り、ウォージーは順調に成長を遂げる。3年生の時にはエース格として、1982年のNCAAトーナメント決勝戦で28得点をあげチームを優勝に導く。しかしこの試合でヒーローになったのは、決勝シュートを決めた1年生のマイケル・ジョーダンだった。

「マイケルの凄さは入学してすぐにわかったよ。粗削りだったけど、最高の選手になろうとの熱意は感じ取れた。もちろん、後々あれほどの選手になるとは思わなかったけれどもね」(ウォージー)
  格好の後継者もでき、プロ入りの用意が整ったと感じたウォージーは、NBAドラフトにアーリーエントリーし、全体1位でレイカーズから指名された。この年優勝したばかりのレイカーズがトップ指名権を持っていたのは、2年前のトレードでキャブズと指名権を交換していたからだった。

 最初からチャンピオンチームに加わることができたのは、ウォージーにとっては幸運だった。ドアマットチームで負け癖のついた選手たちと無為に時間を費やすことなく、ジャバーやジョンソンら超一流の選手たちと接しながら毎日を過ごせたからだ。

「もっとプレーしたいと思うこともあったけれど、弱いフランチャイズの救世主みたいな期待を背負わなくて済んだし、ベテラン選手たちから多くを学ぶことができた」

 謙虚な姿勢を崩さなかったウォージーに対し、マジックも「大抵のルーキーだったら不満を洩らすところだけどね。あの態度こそ、彼が本物のチームプレーヤーである証だよ」と褒め称えた。
  スモールフォワードには実力者のジャマール・ウィルクスがいたため、1年目はベンチからの出場となったが、それでも平均13.4点。フィールドゴール成功率は57.9%と驚異的な高確率で、足首のケガによりプレーオフには欠場したものの、オールルーキーチームに選出された。

 特に目を惹いたのはNBAで一番とも言われたスピードで、自ら「自分の動きが速すぎて、相手の動きが読み切れない時がある」と言うほどだった。
  マジックを先頭にした、素早いパス回しからの速攻の最後を、ウォージーがワンハンドダンクで飾るのがレイカーズの名物となった。GM(ゼネラルマネージャー)のジェリー・ウエストも「彼を相手にマッチアップするのは不可能だろう。相手の背が低ければその上からシュートを決めるし、背の高い相手にはクイックネスで対抗できるからね」とほくそ笑んだ。

文●出野哲也
※『ダンクシュート』2011年11月号原稿に加筆・修正

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配信元: THE DIGEST

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