毎月8万円以上を、このカードに集中させられるか。それができない人にとって、6月以降のゴールドは何を意味するのか。
PayPayカードゴールドが、特典を大幅に変更する。年会費1万1000円は据え置きのまま、ゴールド会員だけに上乗せされていた+0.5%の還元が消える。
代わりに登場するのが「年間利用特典」だ。年会費の支払予定月を含む12カ月間で100万円以上使えば、1万1000ポイントを一括付与する。ちょうど年会費と同額だから「実質無料」になる、というフレコミである。
確かに聞こえはいい。だが、少し待ってほしい。旧制度では使った分だけポイントが積み上がった。なだらかな坂だ。新制度は100万円の崖一枚。届けば1万1000ポイント、届かなければゼロ。50万円使おうが99万円使おうが、崖から転げ落ちる。
しかも、集計から外れる支出がある。ソフトバンク・ワイモバイル・LINEMOの通信料、交通系ICへのチャージ、ANA PayやKyashへのチャージ、PayPay残高へのチャージ…。「これでは使っていても届かない」という不満が、Xで相次いでいる。
損得の分岐点を数字で言えば、旧制度で1万1000ポイント相当を稼ぐには、年間220万円の利用が必要だった。新制度は半分以下の100万円でいい。だから100万円から220万円の間に収まる人には、確かに改善である。
しかし220万円を超えるヘビーユーザーには「改悪」になる。「年間数百万円を使っている自分には、かなりの改悪」という嘆きの声が上がったのは当然で、使えば使うほど得だった仕組みが、100万円で頭打ちになった。
固定費から日用品まで…月8万3000円を集約させてようやく届く
もっとも、100万円に届かなくても基本付与の1.0%還元は続くし、LYPプレミアム無料、空港ラウンジ、ETC年会費無料、旅行保険といった継続特典もある。4月10日には追加特典の発表もあった。
ソフトバンクの新料金プラン「ペイトク2」でゴールドを使えば決済額の+10%還元(上限月4000円相当)、通信料の支払いに設定すれば月550円割引。
ワイモバイルの「シンプル3」でも月220円の追加割引が入る。ただしこれらは全て、ソフトバンクかワイモバイルの回線を持っている人だけの話だ。それ以外の会員向けには「10%戻ってくるクーポンキャンペーンを実施予定」とあるが、内容も時期も現時点では未定にすぎない。
問題は、ボリューム層がどこにいるかだ。PayPayカード株式会社が公表した2024年度上期の取扱高約2.9兆円を年換算した5.8兆円を、同社が発表した同年9月末時点の発行枚数約1254万枚で割ると、1枚あたり年約46万円という数字が出る。
休眠カードや一般カードを含むため、推計ではあるが、ゴールド会員に絞っても、年100万円を安定して超えている会員がはたしてどれだけいるか。
月8万3000円、固定費から日用品まで全部このカードに集約させて、ようやく届くラインだろう。そんな人だけが得をする設計に変わった以上、そこまでやらない人には年会費を払う意味が薄くなる。
年間100万円を使い続けて、ようやく年会費相当の1万1000円が返ってくる。それを「おトク」と呼ぶかどうかは、これを読んでいるあなたが決めればいい。
(ケン高田)

