
太陽の表面で突然起きる巨大な爆発「太陽フレア」。
その様子は映像で見るだけでも迫力がありますが、もしそれを「音」として聞いたらどうなるのでしょうか。
2026年3月、アマチュア天文家のDudeLovesSpaceが、太陽黒点「AR4392」がフレアを噴出する瞬間を偶然捉えました。
さらにこの観測では、電波として記録されたデータを音に変換することで、太陽の活動を“耳で体験する”という珍しい試みが行われています。
その結果は、まるでホラー映画のように不気味な音でした。
実際の音を聞いてみましょう。
目次
- 太陽の爆発を「音」にすると何が起きるのか
- 黒点とフレア――太陽の「荒れた時期」に起きる現象
太陽の爆発を「音」にすると何が起きるのか
今回の観測のポイントは、「データのソニフィケーション(音化)」と呼ばれる手法にあります。
太陽フレアが発生すると、可視光だけでなく電波などさまざまな波長の放射が放出されます。
通常、これらはグラフや数値として分析されますが、今回はその一部を音声信号に変換しました。
つまり、太陽が発した電波の変化を「音の変化」として再現したのです。
その結果生まれた音は、規則的なメロディとはほど遠く、不安をかき立てるようなノイズやうなりに満ちていました。
まるで何かが唸り声を上げているかのような、不気味な響きです。
実際の音声データがこちらです。
ただし注意すべきなのは、これは実際に宇宙空間で聞こえる音ではないという点です。
宇宙はほぼ真空であり、音はそのまま伝わりません。
今回の音はあくまで「電波データを人間が知覚できる形に翻訳したもの」です。
それでも、こうした音化には重要な意味があります。
視覚だけでは気づきにくいパターンや変化を、聴覚を通じて捉えられる可能性があるため、科学的な分析にも役立つ手法とされています。
黒点とフレア――太陽の「荒れた時期」に起きる現象
今回フレアを放出した黒点「AR4392」は、2026年3月12日に初めて観測され、その後およそ2週間にわたって追跡されました。
黒点とは、太陽表面の中でも特に磁場が強くなっている領域です。
この磁場が複雑に絡み合い、やがて断裂して再結合することで、膨大なエネルギーが一気に解放されます。
これが太陽フレアの正体です。
AR4392は特別に巨大な黒点ではありませんでしたが、活動は比較的活発で、3月16日と18日に中規模のMクラスフレアを発生させました。
さらに弱いCクラスのフレアも複数確認されています。
中でも今回、音として記録されたのは3月18日に発生した「M2.7フレア」で、約16分間続いた比較的強い現象でした。
こうした活動は、太陽の約11年周期の活動サイクルと深く関係しています。
太陽は現在、活動のピークである「太陽極大期」を過ぎつつあり、以前よりは落ち着いてきているものの、依然として活発な現象が起きています。
極大期には黒点が増え、それに伴ってフレアやコロナ質量放出も頻繁に発生します。
これらは地球の通信や人工衛星に影響を及ぼすこともあるため、重要な研究対象となっています。
太陽は「叫んでいる」のかもしれない
もし仮に、宇宙空間でも音が伝わるとしたら、太陽は常に100デシベルほどの轟音を響かせていると予測されています。
もちろん実際にはその音が私たちに届くことはありません。
しかし今回のようにデータを音に変換することで、私たちは普段とは違う感覚で太陽の活動を体験することができます。
視覚では「光の爆発」としてしか捉えられなかった現象が、聴覚を通すことで「唸り声」や「叫び」のように感じられる。
この感覚の変化は、宇宙という存在の異質さをよりリアルに伝えてくれます。
静かに輝いているように見える太陽も、その内側では想像を超える激しいエネルギーが渦巻いています。
そしてその一端を「音」として聞いたとき、私たちはようやく気づくのかもしれません。
太陽は、私たちが思っている以上に“騒がしい活動”を続けているのです。
参考文献
The ‘Sound’ of a Flare Erupting From The Sun Is an Unnerving Horror
https://www.sciencealert.com/the-sound-of-a-flare-erupting-from-the-sun-is-an-unnerving-horror
ライター
千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。
編集者
ナゾロジー 編集部

