
映画「未来」の公開直前プレミアムトークイベントが4月22日、都内で行われ、俳優の黒島結菜、北川景子、瀬々敬久監督、原作者の湊かなえ氏が登壇。作品の見どころや人生で感じた救いの言葉などを語った。
本作は、湊氏がデビュー10周年に発表した渾身の傑作ミステリー。複雑な環境で育った教師が、教え子のもとに届いた「20年後の自分」からの手紙をきっかけに、少女を殺害計画から救おうと奮闘していく。
■湊かなえ「和室に缶詰め」で生み出した兄弟の絆
イベント冒頭、書店というロケーションに瀬々監督は「Amazonでポチッとしてばかりだったが、実店舗はいいですね」と照れ笑い。湊氏も「ここは私が大はしゃぎする場所」と、本への愛を爆発させた。
トークが深まると、話題は原作のお気に入りシーンへ。黒島が「家族が『ハイテンション』と言って気持ちを盛り上げるシーンが大好き」と挙げると、湊氏は執筆当時を振り返り「缶詰めでした。ラストシーンは決まっていたけれど、主人公の周囲が見えなくなり筆が止まってしまって。ホテルでベッドのない和室を借り、布団も掃除も断って4日間こもって書きました」と回顧。暗闇の中で光を見出すような兄弟の合言葉は、極限状態の「缶詰め」から誕生したエピソードを披露した。
また、北川は「人の心は目に見えないけれど、とても柔らかなものだとパパは思う」というフレーズをセレクト。「湊先生がどんな思いでこの文章を作られたか聞けて感動しています」と思いを伝えると、湊氏は「20年後の自分から手紙が届くという設定ですが、未来への目印があれば、辛くてもその日まで頑張れる。言葉が人にとってどんな役割を持つのかを表現したかったんです」と、物語の核となる「言葉の力」について語った。

■「いつでも帰ってこれる」母の言葉に救われた10代
トーク中盤、本作のテーマにちなみ「自身を支えてくれた言葉」について話題が及ぶと、黒島と北川がそれぞれの家族との絆を感じさせるエピソードを披露した。
黒島は、10代で俳優を志し、沖縄から上京した当時を回想。「仕事がうまくいかなかったり、つらい時期があって。夜、家までの帰り道を長く歩きながら母に電話をしたんです」と告白した。その際、母からかけられた「いつでも帰ってこれるんだから」という言葉が折れそうな心を繋ぎ止めたといい、「帰っていい場所があると思えたのはすごく大きかったです。その言葉があったから、あともう少し頑張ってみようと思えました」と、等身大の言葉で感謝を語った。
その話を聞いた北川も、同じく芸能界への道に悩んでいた17歳の頃、両親から贈られた言葉が原動力になっていると語り、「親から『ダメなら帰ってきたらいい』と言ってもらえたこと。そして、やりたいことを見つけた自分に対して『自信を持つといい』と背中を押してもらえたことが、今でも心に残っています」と振り返った。
また、読者からの質問コーナーで「未来」という言葉のイメージの変化について問われると、幼少期に被災経験のある北川は「未来は突然奪われる、不確かなものという感覚がありました。でもこの作品を読み、未来に期待を持てないことはダメなことではないんだと励みをもらいました」と吐露。
一方、黒島は「未来はよくわからないからこそ、今の自分がどう想像して作っていくか。良い未来のために今を積み重ねたいと思えるようになりました」と前向きな変化を口にした。
最後に黒島は、「映画は苦しい内容ではありますが、一人でも多くの人の希望、未来になったらいいなと思います」と結んだ。
◆取材・文=永田正雄


