
キャプテン遠藤航が不在。まさかの非常事態をどう乗り切るか。“もう1人”の主軸がタフさを養っておくのは重要だ【日本代表】
9月のアメリカ遠征でメキシコ&アメリカを相手に“無得点未勝利”という厳しい結果に終わった日本代表。2026年北中米ワールドカップで優勝という大目標に近づくためにも、10月のパラグアイ(10日)&ブラジル(14日)との2連戦では内容・結果の両面で進化を示す必要がある。森保一監督も目に見える成果を残さなければいけないと強い自覚を持って、6日からの代表合宿に突入したはずだ。
しかし、トレーニング初日にショッキングなニュースが飛び込んできた。キャプテンの遠藤航(リバプール)が怪我のため今回の活動を辞退することが決まったのだ。前日5日には板倉滉(アヤックス)も怪我のため不参加が発表されており、橋岡大樹(スパルタ・プラハ)を追加招集したばかりだが、今回は絶対的支柱の離脱ということでチームに激震が走った。
「(航は)もちろん大事な存在なんで、影響は大きいとは思いますけど、ワールドカップでもどうなるか分からない。そういうなかでもやらないといけないんで、強い気持ちを持って挑む必要があると思います」と長友佑都(FC東京)は神妙な面持ちでコメントしたが、2023年からの第二次森保体制で、遠藤不在のケースはほとんどなかったのだ。
彼が重要局面で欠場したのは、2024年10月のW杯最終予選・オーストラリア戦だけ。この時は前日に体調不良を訴えて欠場しているが、シリーズ自体には帯同していた。だが、今回は活動すべてに加わらない。その状況下で日本は強豪2か国に勝てるのか。まさにチームの真価が問われると言っていい。
遠藤の主戦場であるボランチに目を向けると、今のところ追加招集の発表はない(10月6日時点)。指揮官としては、2列目兼任の鎌田大地(クリスタル・パレス)、9月シリーズを欠場したが復帰を果たした田中碧(リーズ)や佐野海舟(マインツ)、藤田譲瑠チマ(ザンクトパウリ)らを組み合わせる形で、この2連戦を乗り切れるという算段があるのだろう。
確かに鎌田は今季、主にボランチでプレー。好調を維持している。田中も初参戦のプレミアリーグで日に日に自信を増している様子だ。8月23日のアーセナル戦で右膝を負傷し、2試合を欠場した後はベンチスタートとなっているが、「対戦する選手が基本的に各国の代表なので、ワクワクもありますし、毎週がワールドカップじゃないですけど、CLとか、それくらいのクオリティがある。本当に成長を感じます」と6日の練習後にも目を輝かせていた。代表経験が豊富な2人が佐野、藤田と良好な関係性を構築し、攻守両面でスムーズな働きを示してくれれば理想的だ。
今までの森保監督の起用法を見ると、代表2連戦では強いチームの方にベストメンバーを出す傾向が強いため、その流れなら、ブラジル相手に鎌田と田中で挑み、パラグアイ戦は佐野・藤田というコンビで行くことになるだろう。けれども、9月のアメリカ戦で佐野・藤田のコンビがそれほど機能しなかったように、この2人では強豪相手に中盤をコントロールし切れないかもしれない。
ゆえに、今回は鎌田・佐野、田中・藤田などといったコンビで融合を図ってほしいところ。田中は直近の公式戦でフル出場していないのだから、今シリーズは2試合連続で先発もありではないか。むしろ、W杯本番で遠藤と重要戦力の守田英正(スポルティング・リスボン)の両方がいないケースもあり得るだけに、もう1人の主軸である田中が連戦に慣れ、タフさを養っておくのは意味があることだ。
「ディフェンス陣はどんどん選手が欠けて、今は前に戦っていたスタメンの選手がほぼいない状況になっている。ワールドカップの本番でもそのシチュエーションが来る可能性はあるし、もっと人が欠けるかもしれない」と百戦錬磨の長友も危機感を募らせていたが、それはボランチにしても同じこと。来年33歳になる遠藤がずっと高値安定でいられる保証はないだけに、ここは田中が中心となって全体をコントロールすることが肝要だ。
「(日本代表は)クオリティを持った選手はボランチに限らず、どのポジションにもいる。個人のパフォーマンスがチームの結果につながると思うので、そこにフォーカスできればいいですね。
新しい選手と組んでうまくいくかどうかは分からない部分もありますけど、結局は球際の勝負に勝てれば、どんなに流れが悪くても引き戻せる。プレミアでもそうですけど、そこが重要かなと思います」と27歳のボランチは強調した。そういう方向に導くことが、今回の田中に託されている。
遠藤のもう1つの重要タスクであるリーダーシップに関しては、39歳の長友もいるし、幸いにして34歳の谷口彰悟(シント=トロイデン)も1年ぶりに復帰した。そういう面々の力を借りながら、チーム全体が結束して戦えれば、難敵相手の2連戦でも必ず勝機を見出せるはず。そうしなければいけないのだ。
「遠藤がいないと勝てない」という状況だけは絶対に避ける必要がある。そのことをボランチ陣を筆頭に全員が肝に銘じつつ、10月シリーズの活動に臨んでいくべきだ。一人ひとりがより一層タフになった日本代表の新たな姿を、ぜひとも見せてほしいものである。
取材・文●元川悦子(フリーライター)
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